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福井県知事に「中池見湿地」の北陸新幹線路線計画に対して、再度、お願い書を提出

 1月7日付「中池見湿地」に関する要望書が福井県から返却されてまいりました。
しかし、中池見湿地内を通過する北陸新幹線路線計画は、条約湿地の良好な環境に、致命的な悪影響を与えることが予測され憂慮されます。福井県に対して、県民の財産を守る意味においても世論の意見、市民の声を受け止めてほしいと再考を願い、再度、1月24日付お願い書を福井県知事あてに郵送提出します。

2013年1月24日

福井県知事 西川 一誠殿

日本湿地ネットワーク
代表 辻 淳夫

ラムサール条約登録地「中池見湿地」内の
北陸新幹線路線計画に関するお願いとお知らせ


 福井県敦賀市「中池見湿地」は2011年12月に越前加賀海岸国定公園に編入され、更に2012年7月にラムサール条約の登録湿地として認定されました。
 しかし、昨年6月に発表された北陸新幹線の新たな計画路線図が8月に公表され、条約登録湿地内を北陸新幹線路線が地下通過することが明らかとなりました。今回明らかとなった計画路線は、以前に発表された路線計画よりさらに湿地の内側に変更されていることは不適切であり真に遺憾であります。この路線計画は、中池見湿地の保全にとって致命的な悪影響を及ぼすものと憂慮されます。
 ラムサール条約登録湿地は、国際的に重要な湿地であり、将来にわたっての保全を国際社会に約束した湿地です。ラムサール条約では、「締約国は、人間とその環境とが相互に依存して」、「湿地の進行性の浸食及び湿地の喪失を現在及び将来とも阻止し」、「将来に対する見通しを有する国内政策と調整の図られた国際行動とを結びつけることにより確保」と述べています。にもかかわらず登録実現の直後に登録湿地内を貫通する新幹線計画が発表され、条約事務局をはじめ他の条約加盟国の日本国への信用・信頼を大きく損ねています。
 計画路線は、中池見湿地を取り巻く山地を貫通するものであり、水系や地下水脈などを絶ち切り、水環境、水供給に確実に影響を及ぼし、このため湿地全体の良好な自然環境に致命的な影響を与えるものと予測されます。
 また、中池見湿地は、「袋状埋積谷」という地形に10数万年もの歴史をもつ泥炭層を有する特異な湿地であり、路線のトンネル北側出入口が計画されている後谷(うしろだに。地元では「おしゃたん」と呼ばれる)地区は、絶滅危惧種をはじめ生物多様性の保全上重要な地域であり、ここを破壊する計画は生態系、景観上からも湿地全体の保全に悪影響を及ぼすものと予測せざるを得ません。
 私たちは、ラムサール条約締約国として国際的な責務の遵守と現在の北陸新幹線路線計画のすみやかな変更を求め、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、環境省、国土交通省、敦賀市宛に要望書を提出しましたのでお知らせいたします。貴県におかれましては、新幹線路線計画が、福井県民の財産であるラムサール条約湿地「中池見湿地」の水循環、生態系、景観、騒音、振動など条約湿地内と周辺地域に悪影響が及ばないようご支援をお願い申し上げます。

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