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和白干潟の環境保全活動

山本廣子 (和白干潟を守る会代表)

 「和白干潟」は博多湾の東部、和白海域(300ha)にある砂質干潟で、面積は約80ha あります。周辺の博多湾沿岸はほとんど人工の海岸になっていますが、ここには砂浜、岩礁地帯からヨシ原、クロマツ林へと続く貴重な自然海岸が残っています。自然海岸のある干潟として2009年「にほんの里100選」に選ばれました。
 この海岸線にそって歩く観察会を開催しています。今夏は7月に「和白干潟の生きものやハマボウを見る会」を開催し、70名が参加。ハクセンシオマネキなどの生きものや浜辺の植物を見ながら歩き、牧の鼻では岩場の生きものを観察。満開のハマボウを愛でました。親木は高さ4m、周囲22m、500個の花が咲いていました。将来はハマボウ園になることを夢見ています。
 和白干潟では毎年たくさんの自然観察会が行われます。5月にはガイドを養成する講習会を開き、「和白干潟まつり」で人気の「ネイチャーゲーム」を学びました。五感を使って自然に気付き、分かちあう。このネイチャーゲームを観察会に取り入れたいと思います。
 3月11日の東日本大震災により大きな被害を受けた仙台市の「蒲生干潟」の再生支援の義援金を募り、全国の会員や和白干潟通信の読者、探鳥会や事務所でのカンパと、和白干潟を守る会の支援金などを合わせ「蒲生を守る会」に送りました。多様な生態系が元に戻るには年月を要しますが、頑張って保全活動を続けられますよう、心から祈っています。震災による福島原発事故から、原発の危険性が認識されました。一旦事故が起きた場合の計り知れない被害の大きさに、ドイツ、スイス、イタリアが脱原発の方針を明確にしました。放射能による汚染は大地も海も大気にも広がります。「和白干潟を守る会」は、未来の子どもたちに豊かな自然を伝えたいと活動してきました。放射能によって汚染されていく自然、人の暮らしを見るのは耐え難いことです。日本が脱原発に向けて一刻も早く方向転換するよう、安心で安全なエネルギー社会の実現へ向けて取り組むように願っています。
 6月「和白干潟を守る会」は、23年間の環境保全活動に対して福岡県から「環境保全功労者知事表彰」をいただきました。現在12月26日までの間、キヤノン「未来につなぐふるさとプロジェクト」「クリック募金」を実施中です。毎日1クリックのご協力をお願いします。和白干潟を守る会のホームページの「キヤノンクリック募金」から入り「福岡県の干潟保全」にクリックしてください。1円が和白干潟を守る会に、1円は東日本大震災義援金として寄付されます。
 和白海域は2003年に「国指定和白干潟鳥獣保護区」に指定、2004年には環境省のラムサール条約登録湿地の候補地になりました。博多湾・和白干潟が湿地を保全する国際条約「ラムサール条約」の登録湿地となり保全されるように願っています。
 11月27日には「和白干潟をラムサール条約登録地に!」をテーマに「第23回和白干潟まつり」を予定しています。これからも地道な環境保全活動を続けて行きたいと思います。

和白干潟の生きものやハマボウを見る会
(JAWAN通信 No.100 2011年9月30日発行から転載)

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