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現地からの訴え(要旨)

業者まかせで外来生物の持ち込みを防げるのか

自然と文化を守る奄美会議 大津幸夫さん
写真2-3
大津幸夫さん

 沖縄・那覇空港第2滑走路建設の埋め立て工事のために、奄美大島から岩石(石材)を船に積んで沖縄に運んだ。
 沖縄県が埋め立て用土砂規制条例(公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)にもとづいて立ち入り調査をおこなったら、奄美の採石場から外来生物のハイイロゴケグモが確認された。ところが業者は、岩石を洗浄したので外来生物はいないということにして沖縄に運んだ。
 石材の洗浄は業者がおこなう。そして、外来種はいないということを業者が確認して持ち込む。それを監査する人はだれもいない。第三者もいない。そういうシステムになっている。
 県外からの土砂搬入を規制する沖縄県のいまの条例は、罰則もなければ監査するシステムもない。
 洗浄したから石材に外来生物は含まれていないというのは、業者が確認して「いなかった」と言っているだけである。
 岩ズリを辺野古に送り込むときも同じやり方でいいのか。ということで、私たちは今年9月の鹿児島県議会に陳情書をだした。鹿児島県として規制条例を制定すべきだという陳情である。
 鹿児島議会における県自然保護課の回答は、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)の第4条に禁止規定がある、それを所管しているのは国なので県として条例をつくる必要はない、というものである。
 現在は、岩石や土砂などに外来生物が含まれているかどうかを洗浄と目視によって鑑定している。そのやり方でハイイロゴケグモなどの外来生物の搬入を防止できるのか。
 これは、奄美大島から辺野古に持っていくという岩ズリの実物である。これは真っ赤な粉だが、雨にさらすと黒くなる。黒糖の色になる。これがどんどん海にたれ流れて、公害をひきおこしている。死の海になっている。サンゴを死滅させている。それが何年もつづいている。
 私たちは採石をやめさせるよう、県に申し入れた。県は採石を中止させた。そして、たれ流しをしないように、いろいろな手立てをした。ところがそのあと、県は採石延長の許可をだした。その結果、赤土の粉がふたたびたれ流しになり、赤土公害が起きた。その状態がいまもつづいている。県は採石許可を3回だした。これからは辺野古のほうに岩ズリを運ぶという状況になっている。

(JAWAN通信 No.117 2016年11月30日発行から転載)

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