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「三番瀬再生計画との整合性確保」を再確認

─第二東京湾岸道路計画で千葉県と交渉─


第二東京湾岸道路建設の動きがふたたび強まるなかで三番瀬保全7団体は2019年1月9日、千葉県の関係課(道路計画課、環境政策課)と交渉した。

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第二東京湾岸道路構想の中止を求め千葉県の道路計画・環境政策両課(手前右)と交渉する三番瀬保全7団体=2019年1月9日、千葉県庁

◆都県境の交通量は減少しつづけ、交通容量を下回った

第二湾岸道路を担当する道路計画課はこの道路について、「いまは構想段階なので事業主体もルートも構造も未定」としながら、「湾岸地域における渋滞解消や首都圏の発展のために第二湾岸道路は必要」とのべた。

県はかつて、第二湾岸道路の必要性として、臨海部における東京都と千葉県の境の道路交通量が増えつづけることをあげていた。

1999年12月にひらかれた第4回「市川二期地区・京葉港二期地区計画策定懇談会」において、千葉県土木部(道路計画課)はこう説明した。1997年における1日あたりの交通量は45万7千台であり、交通容量(40万8千台)を4万9千台もオーバーしている。20年後(2017年)の交通量は59万4千台になると推定される。第二湾岸道路が未整備の場合は、20年後の交通容量不足は4万9千台から18万6千台へとさらにきびしくなる。だから第二湾岸道路が必要である、と。

ところが、じっさいの交通量は減少しつづけている。2015(平成27)年度の6路線の交通量は38万8千台で、交通容量(40万8千台)を下回るようになった。それを7団体がデータと図でしめした。道路計画課は「交通量が減少していることは事実である」と認めた。

◆県平均より湾岸地域の速度が低いのは当たり前

道路計画課は第二湾岸道路の必要性として、湾岸地域の道路の「速度低下」をあげた。

7団体は質した。

「道路交通量が減っているのに、速度が低下しているのか。定点観測によって速度が以前よりも低下しているということなのか」

道路計画課はこう答えた。

「速度の推移をしめす調査結果はもちあわせていない。県の平均よりも速度が低いということだ」

7団体は批判した。

「つまり、時系列で速度が下がっているのではないということだ。全県平均と比べれば、湾岸地域の速度が低いのは当たり前だ。事業所や住宅が集まっている東京湾岸の地域(葛南地区や千葉地区)が農村部を含めた平均よりも車のスピードが高かったらおかしい。問題は、全県平均よりも速度が低いということが産業に影響を与えているかどうかだ。だが、そういう検討はしていないという。検討していないのに、湾岸地域は全県平均よりもスピードが低いので第二湾岸道路が必要、と言っている」

この批判を受け、道路計画課は「低下」を「低い」に訂正した。

◆道路改良が渋滞緩和で大きな効果を発揮

国道357号(湾岸道路)では、左右レーン設置や車線増設、地下立体化などの道路改良が渋滞緩和で大きな効果を発揮している。

 

7団体は「新たに第二湾岸道路をつくるのではなく、今後も道路改良をどんどんすすめてほしい」と求めた。

道路計画課はつぎのようにのべた。

「国道357号の道路改良については、蘇我地区でもすすめている。千葉市役所前の地下立体化などの効果については国交省千葉国道事務所にまとめていただき、県民のみなさんに説明したい」

◆「三番瀬再生計画との整合性を確保する」

県はこれまで、第二湾岸道路を建設する場合は「三番瀬の自然環境に影響がでないようにする」「三番瀬再生計画との整合性を確保する」と言明してきた。その考えに変わりないことを交渉であらためて確認した。

◆国と県の借金残高は最悪水準。それでも道路をつくりつづけるの?

7団体はまた、国と県の借金(債務残高)が雪だるまのようにふくらんでいることをグラフで示し、つぎのようにただした。

「莫大な金をつぎこんで道路建設をつづけると、国や県の借金はどんどん増えつづける。子孫に莫大な借金を背負わせていいのか」

これにたいし道路計画課は「社会資本(道路)を将来にしっかり残すことがわれわれの仕事だ」と答えた。

7団体のメンバーはみんな、この答弁に驚きあきれた。こんな批判があいついだ。

「平成の初めに約160兆円だった国の借金残高(債務残高)はいま約900兆円。地方分をあわせると1100兆円に達する。国民1人あたりでは、地方分をあわせると約870万円の借金をかかえていることになる。千葉県の借金残高(県債残高)も3兆円を超えるようになった。財務省のホームページに『債務残高の国際比較(対GDP比)』のグラフが載っている。日本は借金残高は断トツで多い。財務省は『90年代後半に財政健全化を進めた先進国と比較して、日本は急速に悪化しており、最悪の水準になっています』と書いている。今後も莫大な金をつぎこんで道路建設をつづけると国や県の借金はどんどん増える。国や県の借金がどんなに増えても道路をつくりつづけるという。それでいいのか」

「県は、行財政改革といいながら教育や文化関連の社会資本(公共施設)をつぎつぎと廃止している。行徳野鳥観察舎も昨年4月に廃止した。他方で道路はどんどんつくろうとする。一貫性がまったくない」

7団体は今後の動きを注視し、さまざまなとりくみをすすめることにしている。

(JAWAN通信 No.126 2019年2月28日発行から転載)

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