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■石垣島シンポジウムの報告(要旨)

陸上自衛隊配備による水源・自然の破壊

石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会 川満哲生さん

写真6-1

石垣島の平得大俣地域で陸上自衛隊のミサイル基地配備計画がすすんでいる。ここは石垣島のほぼ中央に位置し、宮良川の支流にあたる。

わたしは嵩田地区で農業を40年ほどつづけている。嵩田地区は、陸上自衛隊の基地建設が計画されている地域の一部である。

この計画は3年前にもちあがった。当時、わたしは嵩田公民館の館長をしていた。計画を知れば知るほど矛盾点がでてきて、おかしいと思うようになった。

つい最近、防衛省が着工した。今年3月末までに工事をはじめれば、4月1日施行の県環境影響評価(アセスメント)条例の適用外となる。そこで強引に工事をはじめた。これは環境アセス逃れでしかない。

その前に、平得大俣地域4地区の住民と防衛省が話しあった。防衛省は予定地内だけの環境問題を考えていて、下流の地域は対象外にしている。しかし、地域全体を把握するのが本来の環境アセスだ。それをやってくれと4地区は要望したが、無視された。こんどは石垣市長と面談する予定だ。このままでいいのかということを多くのひとに訴えることにしている。

建設予定地の2カ所から水が流れでている。その2カ所につらなる湿地帯がある。ほとんど地下水となって入りこんでいる。そこの上流を開発するので、下流にかならず影響がでる。

防衛省は、開発予定地46haのうち30haの工事をはじめた。アスファルトとコンクリートでかためようとしている。そうなったら、基地建設予定地に降った雨は地下に浸透しないで、表流水として流れてくる。地下水の水脈も変わる。降った雨が表流水としていっきに湿地部分に流れこむ。そうなったら、物理的にみて現状を維持することは困難になる。

汚染の問題もある。基地施設で使用する鉛やフッ素による土壌・水源汚染だ。

また、計画地周辺の農地は砂石といって、土と小石が混ざった層になっている。すごく水持ちがいい。層が深い。このへん一帯はサトウキビの生産地で、干ばつに強い。その地下水位をさわるということは、地力を維持できなくなる可能性がある。そういうことを懸念している。

湿地がなくなれば周辺農地の地力が下がる。これは、すぐには目に見えないと思う。が、20年後、30年後、50年後、100年後をみたらたいへんなことになるのではないか。それを心配している。

(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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