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■石垣島シンポジウムの報告(要旨)

辺野古埋め立て工事をやめさせよう

~これ以上の環境破壊と税金ムダづかいは許されない~

辺野古土砂搬出反対首都圏グループ 若槻武行さん

写真8-1

辺野古新基地建設を目的とする埋め立ては難工事である。予定区域の断層は活断層の可能性が高い。また、予定海域の北東側に位置する大浦湾海底の石灰岩層には大きな空洞がある。その海底にはマヨネーズのように軟弱な層も広がっている。

追加の音波探査やボーリング調査の結果、軟弱地盤の厚さが60mもあると判明した。水面下90mの地盤改良工事となる。これまで、70mでも不可能に近い難工事といわれていた。水面下90mまでの工事は、経験も技術も、さらに船などの設備もなく、たしかな計画が立っていない。計画の根本的な変更は避けられない。工事変更は沖縄県知事の承認が必要だ。だが、沖縄防衛局はそれを無視してすすめようとしている。

沖縄県外からの搬入土砂にかんする難問も解決していない。当初計画では、埋め立て用として10トンダンプ340万台分、2100万?の土砂が必要とのことだった。その8割近くを沖縄県外の西日本各地から搬入する。今後は、奄美諸島の大島と徳之島、鹿児島県大隅、熊本県天草の御所浦島、長崎県五島椛島、福岡県門司地区、瀬戸内海では山口県防府市の向島と周南市の黒髪島、香川県小豆島の土砂が採取・搬入される。

この搬入土砂に混じって有害な特定外来生物が侵入し、生物多様性を壊すおそれが指摘されている。西日本各地ではアルゼンチンアリ、セアカゴケグモなどの動物や、オオキンケイギクなどの植物といった有害な特定外来生物が発見されている。

アルゼンチンアリは西日本各地で発見されている。沖縄特産のサトウキビを食い荒らす害虫だ。最近、那覇空港第二滑走路新設埋め立てで奄美大島の土砂を搬入したとき、特定外来生物のハイイロゴケグモが見つかった。

こうしたなか、「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」に結集する土砂搬出地の運動も広がっている。

埋め立て予定160haの辺野古の海は、生物多様性という点でもたいへん重要な海域である。防衛省の調査でも、いまは見かけなくなった絶滅危惧種のジュゴンだけでなく、貴重なサンゴ、ウミガメをはじめ5806種の生物が確認されている。うち262種は絶滅危惧種だ。

この海域は、日本政府が閣議決定した「生物多様性国家戦略」にもとづく「生物多様性の観点から重要度の高い海域」(以下「重要海域」)に選定されている。

また沖縄県外の土砂搬出地の海岸も、ほとんどがこの「重要海域」に入っている。沖縄県外西日本の搬出地の再生不能な自然環境破壊も、生物多様性国家戦略に反している。辺野古の埋め立ても、西日本各地の土砂の採取・搬出も、国際条約上許されない。生物多様性国家戦略を決めた政府が率先して環境を破壊しているのだ。

沖縄県民投票は「辺野古新基地建設反対」を明確にした。今後は沖縄県外(本土)の番だ。辺野古埋め立て用土砂の75%は、本土の西日本各地からの採取・搬出なしには確保できない。本土側の運動はますます重要になっている。

(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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