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■石垣島シンポジウムの報告(要旨)

大切な和白干潟の自然を未来に残すために

和白干潟を守る会 代表 山本廣子さん

写真10-1

和白干潟は博多湾の北東端に位置する。自然海岸の残っている干潟が全国に2カ所ある。和白干潟と盤洲干潟(千葉県木更津市)である。

わたしは和白干潟から歩いて2分ぐらいのところで生まれ育った。わたしが子どものころは、ここは和白海水浴場という名前だった。アサリやハマグリ、マテガイ、クルマエビなどがたくさん採れた。終戦後の食糧難の時代だったので、県内各地から大勢のかたがここに来た。

わたしは高校卒業後、東京にでて油絵の勉強をした。25歳のときに帰ってきたら、和白干潟の全面を埋め立てるということを知った。埋め立てをなんとか止められないかと思った。

地元の人たちや、保育所に通っていた子どもたちのお母さん、いっしょに教室をやっていたお母さんなど、そういう人たちといっしょに署名を集めた。急きょ300人分ぐらいの署名を集めた。そして、埋めないでほしいという保全願いを福岡市議会にだした。1987年のことだ。いろいろな追い風もあって、それが採択されて埋め立てが止まった。

しかし行政も負けない。埋め立て計画が止まった段階で、すぐ人工島の造成計画をうちだした。和白干潟を埋め立てたい人もたくさんいた。

このままでは埋め立てられてしまうということで、翌1988年に和白干潟を守る会を結成した。結成後、観察会をひらいたりしながら、和白干潟のすばらしさを伝えていくとりくみをすすめた。

和白干潟にはたくさんの生き物がいる。カモたちが越冬する。ツクシガモが有名だ。ミヤコドリ、クロツラヘラサギ、オオソリハシシギ、オバシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、チュウシャクシギなどの渡り鳥もやってくる。

カニもたくさんいる。クロベンケイガニ、コメツキガニ、チゴガニ、ハクセンシオマネキ、マメコブシガニ、ヤマトオサガニなどだ。トビハゼもいる。

春は草花がたくさん咲く。ハマダイコンやハマエンドウなどだ。

和白干潟ではいまも貝がたくさんとれる。

いろいろな活動は盛んになったが、鳥は減っている。人工島は、反対運動をしたものの、うまくいかなくてずいぶんとできあがった。

昨年は、「守る会」結成30周年の記念行事をいろいろとおこなった。ラムサール条約登録をめざし、今後も活動をつづける。

図10-1
(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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