■干潟を守る日2005イベント報告

自然かんさつ会
「干潟の生きものたち〜多摩川河口編」

●2005年4月24日(日)9:00〜14:00
●主催:NACS-J自然観察指導員東京連絡会(NACOT)
●参加:35名

 目指す多摩川河口干潟は、集合場所の小島新田駅(京急大師線)から歩いて15分ほど。春の大潮の干潮時、天候にも恵まれて、すでに干潟は潮干狩りをはじめ大勢の人で賑わっていました。
 3グループに分かれて早速観察を開始! 土手を下りて、満開のハマダイコンの花を見ながら浜辺に出ますが、いきなり干潟に踏み込むのではなく、そっとそっと近づきます。行く先をよく見ると、干潟に小さな穴がたくさん開いていることに気付きます。しばらくじっとしていると、そこから小さなカニ(コメツキガニ)が顔を出し、やがて次々と穴から出てきて、干潟を歩き始めます。ところがこちらがちょっと動いたりすると、サッと一斉に穴の中に隠れてしまうのです。
 少し遠くに目を移すと、はさみを上下に振りながら、激しくダンスをしているチゴガニや、両眼を潜望鏡のように垂直に立てて様子を窺っているヤマトオサガニ、がっしりしたはさみを持ったアシハラガニなど、何種類ものカニがいることに気付きます。
 ほかにも、砂を少し掘ってみると、大きなヤマトシジミがごろごろ出てきたり、石をちょっと持ち上げてみると、ザリガニに似た格好でぶよぶよしていて弱々しいニホンスナモグリが隠れていたり、フジツボの仲間がびっしりついた岩に水をかけていると、蔓脚をヒョロヒョロと出しはじめるなど、どれも印象的な生きものばかりです。
 昼食後は、土手にフィールドスコープを並べて野鳥を観察しました。人が近づかない中州の干潟でエサを探すチュウシャクシギとアオアシシギをじっくり観察することができました。メダイチドリの群れも見られましたが、シギ・チドリ類の数は少なめでした。ちょうど春の渡りの時期なのですが、今年は遅れているのでしょうか。
 最後に各自が気付いたことや干潟への想いなどを付箋に書いてマップに貼り、発表しあいました。


 今回の観察会では、大都市の中のオアシス=多摩川河口干潟の豊かさを充分に感じていただけたと思います。さて、ここに連絡橋をつくるという羽田空港の神奈川口計画の方は、多摩川の自然への影響も考慮してトンネル案も検討しているとのことです。この事業による自然環境への影響予測は簡単ではないかもしれませんが、ぜひとも綿密な環境調査を行い、このわずかに残された干潟が保全されることを願わずにはいられません。そもそもこの計画は空港の国際化に伴うものです。そのために生命のゆりかごである干潟の環境を損ねたとあっては、日本が世界中から批判されてしまうでしょう。


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