連絡先住所 |
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団体の経歴や活動内容 |
本会は、自然保護運動を進めてきた鳥仲間が集まり、1974年1月に発足した会で、会員は約300名です。「野鳥を通じて自然との交わりを深め、自然の摂理に学び、自然を尊ぶ心を養い、これによって会員相互の親睦は刈り社会文化の向上に尽くす。」ことを目的に、自然観察会、探鳥会、室内例会、鳥類の調査など年100回以上の催しを行っています。また、他の自然保護団体とも連携をとって、野鳥を中心とした自然保護運動に当っています。
会費は年3,000円で、個人でも家族でも団体でも、どなたでも会員になれます。会員には会報「房総の鳥」が毎月送られ、行事予定、行事の報告、県内の野鳥情報、その他身近な野鳥についての知識などを知ることができます。会員になりたい方は上記ホームページをご覧いただくか連絡先にお問い合わせください。
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活動の対象としている湿地 |
名称 |
九十九里海岸 |
場所 |
千葉県東部九十九里海岸汀線部 |
1.九十九里海岸の特徴
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海岸松林と砂浜、遠浅の海が約60km続く九十九里海岸(千葉県企画部刊「ようこそちばへ」より)
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千葉県の太平洋岸に位置し、北は飯岡町、南は一宮町に至る日本最大級の砂質海岸で、海岸線の長さも約60kmと長く、約100mの幅に砂浜が広がり、遠浅の海であるため、干潮時には幅200m以上の干潟ないしは浅瀬が出現します。
北から、新川、栗山川、木戸川、作田川、真亀川、南白亀川、一宮川など大小いくつもの河川が流入し、河口部の浅瀬や中洲などにも干潟が出現します。
春と秋の渡りの季節には、メダイチドリ、ムナグロなどのチドリ類や、キョウジョシギ、トウネン、ハマシギ、オバシギ、ミユビシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、チュウシャクシギ、オオソリハシシギなどのシギ類が多数飛来生息します。ときにはオオメダイチドリやヘラシギ、キリアイなどのシギ・チドリ類の他、コクガン、ミヤコドリ、セイタカシギ、ヒレアシシギ類なども確認されています。
特にミユビシギは、春秋の渡り時期の他、冬期にも100羽以上の群れがいく群れも記録され、全国のミユビシギの半数以上が記録されています。冬期にはカモメ類やカモ類、アビ類、カイツブリ類も多く、5月には沿岸を飛翔するミズナギドリ類の群れもみられます。
コアジサシも局地的に数百羽以上が繁殖しコロニーを形成しています。特に、県立九十九里自然公園区域であることから、平成10年4月から、自然公園内のウミガメの産卵とコアジサシの繁殖、海浜植物の保護などのため、許可車以外海岸部への車輌の乗り入れが禁止になったことなどから、各地でコアジサシのコロニーが作られるようになりました。
ハマグリやキサゴ(通称ナガラミ)などきれいな砂質海岸に生息する貝類も豊富で、盛んに漁が行われています。沿岸部ではアジやイワシなどの魚介類が豊かで、夏期には観光地曳き網が盛んに行われています。年間を通しイシモチやカレイ、キス、サバなどを目当てに釣り客も多く、また、サーフィンを楽しむ人や海岸を散策する人も多数訪れています。
2.九十九里海岸保全の課題や問題点
特に目立った開発行為はありませんが、年々海岸の利用者が増え、海の家も季節に合わせて設置されるのではなく恒久的な建物となり、通年利用されるようになりました。こうしたことから年間を通して海岸部は利用者が占めるようになり、水鳥が安心して採餌休息をする場所がなくなってきています。特にコアジサシにあっては海岸に乗り入れるオフロードカーやサンドバギー車などにより卵やヒナが踏みつけられる事故が頻繁に発生し、繁殖地が荒らされていました。海岸植物やウミガメの卵なども車に踏みつけられるなどして被害が出ていました。
自然保護に対する関心の高まりから、各方面からこれらの保護のため、何らかの措置が講じられるよう要請が出されました。その結果、平成10年4月から、許可車以外、自然公園内の海岸砂浜部への車輌の乗り入れが禁止され、進入路の閉鎖など、物理的に一般車の進入ができない措置が講じられました。また、本会や「九十九里の自然を守る会」など関連団体の働きかけにより、県、市町村が一体となり、コアジサシ繁殖地へ立ち入らないように標示した簡易柵を設置するなどして、その保護が経常的に行われるようになりました。しかし、禁止を無視して進入する車や犬の散歩に訪れる人などにより、無意識のうちに被害が発生したり、カラス類による卵やヒナの補食被害も発生しています。
3.九十九里海岸の現状を踏まえた提言・意見
九十九里海岸の河口部や内陸部には、かつて、潟湖状の湿地や、砂丘後背湿地と呼ばれる大小様々な湿地が点在し、シギ・チドリ類やカモ類、クイナ類、サギ類など、多くの水鳥の繁殖や採餌休息場所などとなっていましたが、そのほとんどが埋め立てられ、広々と続いていた水田地帯も乾田化が進み、九十九里平野のどこででも見られていた水鳥の生息地が急速に失われてしまいました。これらの湿地は水源涵養や洪水緩和など、人間の生活にも重要な役割を果たしていたものです。
また、河川の中洲や河口部の干潟部も、流下水の流量確保から、浚渫や河川改修などにより急速に消滅してきていますが、これらは水質浄化にも大きく貢献していました。
これまでの画一的な人間中心の土地利用から脱却し、豊かな自然ととともに永続的に生活できる環境作りや土地利用が行われることが望まれます。
幸い、自然環境に対する理解の高まりもあり、河川改修や管理にあたっては関係市町村の他、地域住民や有識者などによる流域委員会が開かれ、自然環境を重視した工法が取り入れられるよう考慮されるようになってきました。また、海岸線の保全もある程度進められてきています。
今後とも、関係団体や県市町村等関係機関とも連携を取り、コアジサシの繁殖地保全など、自然状態の湿地の確保、水鳥生息地の保全に向け活動を続けていく予定です。
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名称 |
盤洲干潟 |
場所 |
千葉県木更津市(小櫃川河口部及び周辺海岸部) |
1.盤洲干潟の特徴
小櫃川と旧流路であった浮戸川に挟まれた区域の干潟部並びに浅海域を盤洲干潟と呼んでいます。しかし、海岸部だけではなく内陸の湿地部も水鳥にとって貴重な生息環境であるため、この区域も含め、盤洲干潟としています。
干潟部は日本でも有数の自然状態が保たれた砂質干潟で、干潮時には汀線から沖合1〜2kmに及ぶ広大な干潟や浅瀬が現れます。特に小櫃川河口部は三角州となり、泥質の干潟や潮溜まり、感潮クリークなどがあり、東京湾沿岸部の原風景を残した唯一の場所となっており、朝日新聞の21世紀に残したい日本の自然100選に選ばれています。
これまでの調査で、カラシラサギ、クロツラヘラサギ、オオハクチョウ、ヨシガモ、アメリカヒドリ、シマアジ、ミサゴ、クイナ、ミヤコドリ、ハジロコチドリ、オオメダイチドリ、ヒメハマシギ、アカアシシギ、オオソリハシシギ、ホウロクシギ、セイタカシギ、ツバメチドリ、ワシカモメ、オニアジサシ、ハシブトアジサシ、ヤツガシラ、アリスイ、ノビタキ、オオセッカ、メボソムシクイ、キビタキ、コジュリン、ミヤマホオジロ、ベニヒワ、コムクドリなど41科155種、未整理のものもあり、それ以上の鳥類の生息が確認されています。特に日本で繁殖する1万羽ほどのコアジサシが越冬地へ向かう前にここに集結し渡って行きます。アジサシ、ハマシギなども数千羽に及ぶ大きな群れが渡りの中継地等として利用しています。ここ数年、区域内にある浸透実験池(海水から工業用水を採取するため1965年に試験的に造成された池)に於いて300羽程のカワウがコロニーを形成し繁殖しています。昆虫層も豊かで、世界で唯一のキイロホソゴミムシの生息地となっています。
海浜植生、湿生植生も豊かで、ハママツナ、シオクグなどの塩生植物の群落もみられます。貝類や魚類、底生動物も豊かで、潮干狩りや潮の干満差を利用して魚を捕る「簾立て」などの名所ともなり、海苔の養殖場としても日本屈指の場所となっています。
2.盤洲干潟保全の課題や問題点
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盤洲干潟周辺地域と早期に鳥獣保護区に指定する必要がある区域
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東京湾アクアラインの開通とともに、周辺道路の整備やアクアライン利用者の増加に期待した観光関連施設の建設が進んでいます。かつて干潟を埋め立てて造成され、漁業組合の観光施設として使用されてきた埋立地が売却され、新たに大形浴場と宿泊施設(スパリゾート)が建設され営業をしています。さらに現在は計画が中断していますが、隣接して大型テーマパークの建設計画も浮上しています。
アクアラインの利用効果を期待して、今後も各種の大型施設の建設が行われることが予想され、急速な都市化、観光地化に伴う環境の悪化により、貴重な干潟が消滅する危険性が懸念されます。
干潟の保全について、浴場施設開業に伴う排水汚染の懸念、釣り餌用のカニ類の乱獲など多くの問題が生じているため、本会を含め、「千葉県自然保護連合」やそれに加盟している「千葉の干潟を守る会」、「小櫃川の水を守る会」、「小櫃川河口盤洲干潟を守る連絡会」などの他、「盤洲干潟をまもる会」や「日本野鳥の会千葉県支部」など、多くの自然保護団体が保全へ向けての活動を行っています。
しかし、海上は全く何ら自然環境保全に関する指定を受けておらず、陸の部分も銃猟禁止区域に指定されているものの、それ以外は自然環境に関する法的規制を何ら受けていない区域であり、ほとんどが私有地でもあるため、次々に行われる施設建設や、これから起こりうる開発行為に対し、極めて規制しにくい状況にあります。
幸い、本会はじめ多くの団体が市や県に対して盤洲干潟の重要性と保全の必要性を訴えてきたことにより、千葉県では第9次鳥獣保護事業計画で、平成17年度に河口三角州の干潟部を中心に約390haを鳥獣保護区に指定するとしています。しかし、本会では、干潟部だけではなく、浅海域や内陸の水田、河川中洲の干潟も重要な湿地であるため、これらを含め、約1,900haを鳥獣保護区(特別保護地区を含む)に指定し、三番瀬とともに、早期にラムサール条約登録湿地へ指定する必要があると考えています。さらに、富津岬から江戸川河口部に至る干潟や浅海域を含む東京湾全域のラムサール条約登録湿地への指定が不可欠と考えています。
3.盤洲干潟の現状を踏まえた提言・意見
盤洲干潟はこれまで重要な干潟と認識されてきているものの、特に目立った開発行為などがなかったため、一般には保全に向けての関心が低い場所でした。しかし、東京湾アクアラインの開通に伴い、急速に開発行為が進展し、このままの状態が続くと、東京湾最後の自然状態を保った干潟は消滅してしまいます。千葉県では三番瀬の保全が当面重要な課題となっていますが、三番瀬とともにこの盤洲干潟の保全は急を要する課題となっています。
現在事業が中断していますが、テーマパークの他、商工業や流通関連施設誘致を目的とした大規模な土地区画整理など、次々に開発計画がわき上がっており、それに伴う環境の悪化が懸念されています。これからは経済中心の計画から、自然環境を重視した計画に改められる時期に来ていると思います。
今後も関係環境保護団体などの活動と連携し、県に対し、この地域の鳥獣保護区(特別保護地区を含む)の指定、及び東京湾全域のラムサール条約登録湿地への指定を早期に実現するよう働きかけていくことにしています。国や県、市等の関係各機関はじめ、自然保護、湿地保全などに関わる各団体の力強いご支援をお願いします。
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★JAWAN団体会員 掲載情報更新日:2005年3月 |