大空・川・海・ひとが出会う、
吉野川河口干潟の真ん中を通過する
東環状大橋
(仮称)着工目前!!
―今秋、11月1日橋脚工事開始!!―

井口利枝子(とくしま自然観察の会)

 日本一の川幅をもつ吉野川河口。ここは「東アジア・オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」に日本で最初に参加した干潟です。県都の入口にこんなに素晴らしい河口の干潟の自然をもっているところは他にはありません。そして、河口の広々とした景観は、徳島県民が等しく共有する「心のふるさと」となっています。国土交通省が昨年、よりよい吉野川づくりをめざして、流域住民に行ったアンケートのなかで「吉野川であなたの大好きな場所はどこですか?」という問いに対して、『吉野川河口』をあげた人が最も多かったことも、長年にわたり市民から吉野川河口が愛されてきた証拠のひとつだと思います。

 ところが、このような豊かな自然とその景観を台無しにすると言っても過言ではないような東環状大橋の建設が、今まさに着工されようとしています。渡河橋ルートは吉野川河口干潟の中枢部である中州および右岸の干潟環境を貫通し,シオマネキやハクセンシオマネキやルイスハンミョウなど貴重種の生息・生育地を含む多様性の高い干潟生態系への悪影響は避けられません。環境アセスメントさえ実施されず、情報公開、住民合意、市民参加どれひとつとってみても積み残したまま、時代の流れに逆行して進んでしまったのです。

▲カニ博士(古賀庸憲さん)の案内で吉野川干潟を探検(7月27日)
 県内外問わず、たくさんの人々から愛されてきたこの吉野川河口、今夏、ひょっとしたら見納めになるかもしれない吉野川干潟にひとりでも多くの人に足を運んでもらいたい、そしてこの吉野川河口干潟の価値を再認識してほしいと思って、今年もできる限りのイベントを重ねています。

吉野川干潟HP

(JAWAN通信 No.76 2003年9月1日発行から転載)