牛野くみ子(千葉の干潟を守る会)
知事は「限りない知恵がつまった報告書。こんな大仕事になるとは夢にも思わなかった。住民参加で計画が練り上げられ、県に宝物をちょうだいした。この千葉モデルをジャパンモデルにしたい。計画を実行に移す努力を迅速にさせていただく」と答えました。 計画案には、海域をこれ以上狭めないことを原則に、かつての三番瀬の環境を復活することが目標として掲げられています。「海と陸との連続性の回復」「生物種や環境の多様性の回復」「漁場の生産力の回復」等々です。そして、この計画案を支えるための条例要綱案、千葉県三番瀬等の再生、保全および利用に関する条例が添付されています。ここには禁止行為や罰則、また円卓会議の後継組織が定められています。 今後、知事はこの計画案を精査し、実行に移すものと考えられます。 すぐに実行されるであろうと思われるものに、垂直護岸の前面に石積み護岸を設置する、市川市塩浜2丁目の改修護岸前面の干出域があります。このことに関して知事は、昨年の10月、国の補助を受け改修することを明らかにしているからです。しかし、技術的なつめはされていません。検討・検証する後継組織の早期設置が望まれます。 この後継組織を定めた条例案は、報道によれば4月以降県議会で審議されるとのことですが、県議会ですんなり通るのか不安が残ります。通りそうもないとなると、知事は提出さえしないだろうというのが大方の見方です。 三番瀬は現在でも漁がされ、潮干狩り、ハゼつりと賢明な利用がされています。私たちは、2005年のウガンダでのラムサール条約締約国会議で登録されることを願っています。 しかし、漁協は国指定鳥獣保護区特別保護地区になると、建築物、工作物の新築・増改築が規制される、覆砂・養浜なども規制されるのでないか、水鳥による稚魚の食害や、ノリへの羽毛混入の被害が拡大するとの懸念を持って反対しています。よって、ラムサール条約登録にも反対しています。 また、円卓会議では一度も議論されなかった第2湾岸道路。堂本知事は積極的に推進しています。第2湾岸道路とラムサールそして条例案。さー三題噺のはじまりです。 どうも見通し明るくないことばかり書いてしまいましたが、それにはわけがあります。 堂本知事は1月29日の定例記者会見で「私は無党派主義ではない。選挙は勝たねば」との考えを明らかにしたそうです。このことは来春、出馬の際は、政党の推薦や政策協定の可能性を示しています。自民党はまだまだ開発ドンドンです。ジャピック(日本プロジェクト産業協議会)では東京湾にゴミの島、ランドフィル島を計画しており、もう、埋め立てはなくなったとは言い切れない状況があるのです。 運動はまだまだ続きそうです。 (JAWAN通信 No.77 2004年2月20日発行から転載) |