諫早湾の中・長期開門調査の早期実施を!
――JAWANや有明海再生ネットなどが共同で農水省に要望

矢嶋 悟(日本湿地ネットワーク)

農水省の職員に要望書を手渡す諫早干潟緊急救済東京事務所の菅波完さん(左)
 1月25日の朝日新聞の1面に、九州大学の小松利光教授らの調査結果の記事が掲載されました。諫早湾の閉め切り以降、有明海島原沖の潮流が最大3割も遅くなっていることが、現地調査で分かったのです。諫早干潟の浄化機能の喪失だけでなく、干拓事業による地形の改変が、有明海の海水を停滞させ、赤潮の頻発や水産資源の減少などの原因になっている疑いがますます濃くなりました。
 一方で、干拓事業の悪影響を調べるためにノリ不作第三者委員会が提言した、長期にわたって諫早湾の水門を開放して行う調査について、昨年12月に終了した中・長期開門調査検討会議は、調査実施に否定的な内容の報告書を取りまとめました。
 これに対し、JAWANや有明再生全国ネットなどは、調査実施と工事の中止を求める緊急アピールを発表し、1月19日に農水省に要望書を提出しました。このアピールには短期間でありながら、65団体、320人の賛同署名が集まりました。ご協力いただいた皆さまに、お礼申し上げます。
 干拓事業による潮流の変化で、自然界の豊かさが失われつつある有明海……その再生のためには社会の潮流を湿地保全へと変えていくことが必要です。これからもご支援をよろしくお願いいたします。

(JAWAN通信 No.77 2004年2月20日発行から転載)