COP10に向けた韓日交流プログラム
(於:釧路〜知床)報告

伊藤よしの/柏木 実 日本湿地ネットワーク副代表

 韓国環境運動連合(KFEM)は、11月6日〜11日の6日間、釧路市などを訪問する「ラムサール条約第10回締約国会議(COP10)に向けた韓日交流プログラム」を実施し、日本湿地ネットワーク(JAWAN)はこれに協力して同行しました。
 これは、KFEM湿地委員会が1993年に釧路で開催されたCOP5の経験に学び、2008年韓国でのCOP10を成功させようという目的で実施したもので、副代表のイ・ピョンジュさんや湿地海洋チーム代表のキム・キョンウォンさんなど、COP10を担う韓国各地からのNGOメンバー20名とJAWANのメンバーなどが参加しました。

釧路湿原温根内木道からヤチマナコの深さを測る

 7日にはトラストサルン釧路の杉沢拓男さんのガイドで、釧路湿原の歴史や、条約湿地となってからも発生し続けるさまざまな問題、その解決に向けた再生の取り組みなどを詳しく聞きました。
 8日は、午前に釧路市から、午後はワークショップでNGO、ラムサール事務局などの立場から、COP5当時の経過の報告があり、また韓国の最近の動きとして、締約国会議開催直前2日間(2008年10月26・27日)のNGO会議開催が決まったことなどが報告されました。
 8日夜にはCOP10 NGO会議に向けて実際的な準備をはじめるための会議が持たれ、これからのスケジュールや活動方法について検討し、韓日のみならずアジアのNGO、国際NGOが参加する国際的なネットワークの構築など、NGO会議の成功を目指して協働していくことを約束しました。
 9日には同じく杉沢さんの案内で、新しい条約湿地である野付半島と、知床半島を視察しました。夜には毎晩のように会議も開催されましたが、参加者全員が精力的にスケジュールをこなし、条約湿地3カ所、世界自然遺産1カ所を回ることができました。
 事務局のソニョンさんは、「釧路湿原を視察する機会が得られたことを嬉しく思います。このプログラムを通して参加者が同じ体験をしたことで、理解と協力関係がさらに進み、協働ができるようになりました。またKFEMとJAWANがCOP10の準備のための詳しいプランを立て、2008年に向けてはっきりと図を描くことができました」と感想を語っています。

 この交流プログラムを通じて韓国NGOと日本湿地ネットワークは、COP10に向けて力強い一歩を踏み出したと言えます。

釧路市の新庄さんより1993年COP5での取り組みを中心に説明を受ける 羅臼漁港にて

(JAWAN通信 No.86 2006年11月25日発行から転載)