船橋漁協が「ラムサール登録地賛成」を決議

牛野くみ子 千葉県自然保護連合代表

 三番瀬にうれしいニュースが舞い込みました。
 去る3月15日、船橋漁協が組合の総会で「ラムサール条約登録地賛成」の決議をあげたことです。三番瀬で一番組合員の多い船橋漁協が「ラムサール賛成」の声を上げてくれたことはとてもうれしいことです。新聞によれば登録賛成の方は反対の方の2倍ですが、まだ保留の方もいるようです。そんなことで大野組合長は「今後も勉強会を通して理解を深めてもらえるよう努力したい」と述べています。
 また昨年からのこの動きに触発されたのか市川市行徳漁協の幹部のお一人が「ラムサール条約の勉強をしたい。環境省の方から直接話を伺いたい」と言ってきました。早速、環境省の担当者に話し合いの場を持って頂けるよう要請したところ、3月の初めに実現しました。話し合いのあと、漁業者の方から「ラムサール登録地になっても、何ら現在の漁業に支障がないことがよく分かった。漁業後継者のいる人は、みんな賛成するよ」と言ってくれました。利害関係人の中で漁業者がラムサール登録賛成と言ってくれるなんて本当に画期的なことです。しかし、千葉県は「漁業者の合意が得られない」ことを理由に、登録は時期尚早と言ってきました。がその一角が崩れました。
 漁業者の一人に「三番瀬にもし第2湾岸道路が造られたらどうしますか」と聞いてみました。その人は「漁を続けたいと願っている人は、埋め立てはもう無くなったと思っている。もし第2湾岸道路が漁をしている目の前に造られたら大変だよ」と言いました。
 千葉県は「第2湾岸道路のルート、構造を決める場合は、三番瀬再生計画を一つの制約条件として検討されると考えている」と述べています。
 しかし、現在行われている護岸改修はおよそ再生という名に値しないものであることを考え併せると、県にとって必要と考えている第2湾岸道路が、三番瀬の再生に何ら支障を来さないと理屈づけてくることはありうることです。
 昨年の9月より「三番瀬再生実現化試験計画等検討委員会」が発足しています。これは人工干潟実験場所をどこに造ろうかというものです。名目は「失った生物の回復を目指す」というものですが、目標生物も定めないまま、現在どこで実験をしようかと先を急いでいます。この人工干潟実験は第2湾岸道路のための布石ではないでしょうか。
 三番瀬の保全促進は世論の声が一番です。三番瀬を守る署名ネットワークでは、現在までにラムサール条約早期登録の署名を8万筆以上集めています。私たちも一日も早く登録できるよう力を尽くします。みなさまの応援よろしくお願い致します

船橋漁港(たいこ橋付近) 第4回三番瀬再生実現化試験計画等委員会
(2008年1月30日)

(JAWAN通信 No.91 2008年7月1日発行から転載)


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