まだまだ闘い続く三番瀬
あれから10 年経ちました。「三番瀬は今のままでラムサール条約登録をすることが出来ます」と、太鼓判を押してくださったのは、暑いさなか三番瀬に足を運んでくださった当時ラムサール条約事務局長のデルマー・ブラスコさんでした。
ラムサール条約の国際基準を充分満たしているにも関わらず、条約に登録されないのは何故でしょうか。前号で中山さんが詳しく書かれています。やはり東京第2 湾岸道路が秘やかに存在しているからです。
県は、昨年12 月に情報公開、住民参加で6 年間開催してきた再生会議及び個別の委員会を終了させました。今後は「県が主体的に事業を行う」として、事業を助言、評価する「専門家会議」を8 月4 日に発足させました。委員は海岸工学、都市計画、底生生物、水産、海洋環境、河川環境の6 人だけです。地域住民、漁業関係者、環境保護団体は入っていません。その上、傍聴は出来るものの、発言は出来ません。
更に個別のテーマを検討していた「漁場再生委員会」は「漁場再生事業連絡協議会」と改称し、知らない間に開催したことが先頃分かりました。案内はおろか開催結果さえ通知されないので、構成メンバーも分かりません。その名の通り県と漁協で連絡を取り合って都合よくやっていくのでしょうか。
「護岸委員会」は「護岸整備委員会」と改称され、傍聴も発言も出来ますが、委員は21 人から8 人に縮小されました。その中には地域住民も2 人選ばれていますが、人工海浜推進の方々で、県のみえみえの人選です。
では、一般県民の声はどこで吸い上げられるかというと、「三番瀬ミーティング」を開催すると県はいっています。しかし、年一回の開催で県民の声を聞いたと言えるのでしょうか。
三番瀬を多くの方に知っていただく目的で、船橋駅前に「三番瀬サテライトオフィス」が県により設けられています。運営を担当するのは環境保護団体です。しかし、この8 月に閉じられます。県が一方的に今年4 月に通知してきました。一般からは閉館は惜しいとの声があがっています。
住民を遠ざける行政のやり方は、一昔も二昔も前に逆戻りです。
残念なことではありますが、こういった構図は他の所でも見受けられます。ダム問題がそうです。ダム事業の是非を客観的・科学的に検証するためには、ダム事業に異論を持つ市民と十分に議論が行われなければなりません。しかし、一般市民は検証作業から排除されているのです。国土交通省が選んだ御用学者達により、どのように検証しても「ダムは必要」と行き着くように成っているのです。このような状態を、衆議院議員の河野太郎さんは「原発の事故といい、市民を苦況に追い込む日本の行政はおかしい。これは犯罪だ」「市民の力で犯罪を暴いていこう」と仰っています。
東京第2 湾岸道路にしろ八ッ場ダムにしろ、何十年も前に計画され、現実とかけ離れた状況(第2 湾岸道路は人口減少、交通量減少。八ッ場ダムは人口減少、水余り、治水に役立たない)にあるにもかかわらず、先人がたてた計画を完遂しようとしています。税金をムダにつかって。
そこには真摯にものを考える態度は見えません。公共事業はお役人のためのものではありません。
一般市民を排除した三番瀬の各委員会、そしてダムの検証。後戻りの状況を打破しない限り三番瀬の保全やラムサール条約登録はおぼつきません。なにか振り出しに戻った感がいたします。それでもねばり強く闘いを続けます。河野議員のおっしゃるように、今こそ市民の力を発揮し、市民の力で不条理の構図を暴いていかねばなりません。この社会を造っているのは一般市民だから。皆さん応援を宜しくお願いいたします。
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