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和白干潟のラムサール条約登録を目指して

山本 廣子 (和白干潟を守る会代表)

 和白干潟を守る活動は今年で24 年目です。2003 年に和白干潟は国指定鳥獣保護区になりました。2004 年にはラムサール条約登録の候補地に選ばれています。来年は国指定鳥獣保護区設定から10 年になり、設定の見直しがあります。

登録湿地を目指して

子どもたちと和白干潟まつり

 今年は環境省福岡事務所の方が和白干潟で清掃活動を企画されたり、九州事務所の方がクリーン作戦に参加されたりしました。環境省の方々が和白干潟に関心を寄せてくださっているようで、ラムサール条約登録湿地の可能性が感じられます。
 今年は7 月にルーマニアでラムサール条約第11 回締約国会議が開かれて、日本の9か所が新規登録され、九州の干潟では初めて熊本県「荒尾干潟」がラムサール条約に登録されました。大変嬉しいことでした。「荒尾干潟」は2010 年に潜在候補地となり、荒尾市長の理解もあってわずか2 年でラムサール条約登録地となりました。和白干潟も長い間候補地のままですので、今年は気を入れて登録を働きかけようと思っています。
 まず8 月7 日には福岡市長に「和白干潟のラムサール条約登録についての要望書」を提出して申し入れをしました。

①国(環境省)に和白干潟の国指定鳥獣保護区「特別保護地区」指定を求めること
②国(環境省)に地元自治体として和白干潟のラムサール条約登録地指定を求めること
③ラムサール条約について行政の内部で理解を深め、福岡市役所に登録に向け推進する部署を設けること
④市民にラムサール条約についての正しい理解を促す機会を設けること
⑤干潟周辺の地権者への理解を深める機会を設けること
⑥市民と行政の意見交換の機会を設けること
⑦和白干潟がラムサール条約登録候補地になった2004 年から今日まで、福岡市が登録に向けて実施した具体的な取り組みを明らかにすること
⑧生態系保護の観点から、和白海域における業者によるアサリ採取を禁止すること

 記者会見も開き、新聞3 社が記事にしました。和白干潟を守る会のホームページにも要望書や提出報告を掲載していますのでご覧ください。
 次は11 月25 日の「第24 回和白干潟まつり」で「ラムサール宣言」を出すと同時に、「和白干潟のラムサール条約登録を求める署名」を始める予定です。署名活動のためのユニフォームを作り、楽しく集めたいと願っています。
 全国の湿地保全活動グループの皆さまにも協力をお願いしようと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
 和白干潟は次回3 年後のウルグアイでのラムサール条約第12 回締約国会議での登録を目指してがんばります。
 和白干潟は1988 年に全面埋め立てを免れましたが、和白干潟の沖合を401ha も埋め立てられてしまいました。和白干潟をふさぐような位置に作られた人工島は、和白海域の海水の流れを停滞させて海水の交換が悪くなっています。

「日本の里百選」に選ばれた和白干潟
絶滅が危惧されるクロツラヘラサギ

クリーン作戦で環境改善へ

 水質悪化のためにアオサの大量発生や底質のヘドロ化を招き、底生動物の減少や渡り鳥の減少が起こっています。
 環境改善のためにクリーン作戦をしたり、アオサ回収を働きかけたりしてきましたが、なかなか渡り鳥の復活は見られません。
 ラムサール条約登録湿地になって、環境省や福岡市といっしょに和白干潟の環境回復を目指したいと願っています。
 和白干潟は2009 年には朝日新聞社などから「にほんの里100 選」に選ばれました。
自然海岸のある干潟として、ミヤコドリやクロツラヘラサギが渡来する干潟として、和白干潟をラムサール条約登録湿地にしたいと願っています。
 力を合わせてがんばりますので、皆さまも応援をよろしくお願いします。
 来年2013 年のJAWAN 総会とシンポジウムは和白干潟で開催する予定です。JAWAN会員の皆さま、ぜひ和白干潟へおいでくださいね!

クリーン作戦で環境改善へ
(JAWAN通信 No.103号 2012年10月21日発行から転載)

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