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問題公共事業は死なず、ただ化けるのみ

牛野くみ子 (千葉の干潟を守る会副代表)
11月16日:公共事業徹底見直しを実現する集会発表

■はじめに

 三番瀬は東京湾の最奥部、千葉県市川市地先と船橋地先に広がる干潟・浅瀬で1,800ヘクタールあります。現在でもアサリ採取、のり栽培が漁業として行われ、春の潮干狩り、秋のハゼ釣りと多くの市民に親しまれています。
 千葉県による三番瀬埋立計画は、1980年代よりありましたが、ねばり強い埋立反対運動により 2001年白紙撤回されました。20年来の干潟保全が成就したと多くの人は胸をなでおろしました。がそれもつかの間、知事は「里海の再生」を掲げて「三番瀬再生検討会議」発足させました。

ふなばし三番瀬海浜公園(2012・05・28)

■公共事業は死なず、ただ化けるのみ

 円卓会議、再生会議と続き、現在は専門家会議が年2回開催されています。埋立計画の中心であった第2東京湾岸道路(以下2湾とする)は、会議の中では一度も議論されたことはありません。そんなことで、多くの人は埋立白紙撤回と同時に2湾はなくなったと思っています。しかし、千葉県は国に2湾を早く作って欲しいと毎年要望をあげています。因みに2湾は市原市の廿五里(ついへいじ)と大田区の城南島を結ぶ道路で、既に三番瀬を挟む習志野市と浦安市に用地確保が出来ています。
 千葉県は、3.11の大震災以降、道路建設の口実としてリダンダンシー(Redundancy)という聞き慣れないことばを使い出しました。つまり震災などで道路や橋が機能不全に陥った場合を想定し、代替手段を確保しておくというものです。県は代替手段となる道路は何本造ってもいいと言っています。2湾もそういう口実で三番瀬に通そうとしていることを、県議会でしきりに述べています。
30年前の埋立計画の構想は、今も生きているのです。公共事業は死なず、化けて出てくるのです。丸2年にわたって行われた円卓会議では「海をこれ以上狭めない」と決定しました。しかし、現在「再生」という名で、人工海浜化の動きを市川市は見せています。「もっと市民が海にふれあえるように」それにより人工ビーチを擁した街づくりということで、採算がとれ、地域活性化に繋がると県に要望しているのです。

■ラムサール条約湿地登録と今後の運動

 三番瀬では都会にあって今なお活発な漁業が営なまれ、市民のレクリエーションの場となっており、賢明な利用がされています。ラムサール条約の国際的基準をいくつも満たしています。
2001年に三番瀬を訪れた元ラムサール事務局長のデルマー・ブラスコさんは、「今すぐにでも登録できる」と太鼓判をおしてくれました。2010年2月、再生会議の大西会長は、県に対し「ラムサール条約湿地登録を加速すること」の意見書を提出しています。が登録はなりませんでした。
現在、2015年のCOP12の登録に向け新たな署名を開始しています。三番瀬の猫実川河口域は、貴重な泥干潟が広がっていて、5,000㎡のカキ礁もあります。船橋側では潮干狩りも行われています。人工の養貝場もあります。これらを観光資源として捉え、地域の活性化につなげる運動にしていきたいとおもいます。再生という名を借りた新たな開発には、あくまでノーでとりくみます。

(衆議院第一議員会館 大会議室)

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