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「国指定和白干潟・多々良川河口鳥獣保護区指定に係る公聴会」へ参加

山本廣子 (和白干潟を守る会代表)

国指定鳥獣保護区の指定に係る公聴会で意見発表

 今年4 月にはJAWAN 総会と講演会を和白で開催していただき、感謝いたします。
 全国の湿地がともに保全されるように活動グループが交流できることは、大変励みになります。皆さんに和白干潟を見ていただき、思いを伝えることができました。これからも力を合わせて保全活動をがんばりましょう!!
 和白干潟は2003 年に「国指定和白干潟鳥獣保護区」になりました。その後10 年が経過して、今年は継続の手続きが行われています。環境省は「国指定和白干潟・多々良川河口鳥獣保護区特別保護地区」の提案を福岡県、福岡市や和白の農業生産者などに地元懇談会で提案しました。
 しかし、国指定和白干潟鳥獣保護区「普通地区」は良いが「特別保護地区」では開発規制がかかるので反対との意見があり、普通地区の延長手続きをすることになったそうです。今回は多々良川河口が追加提案されています。
 7 月には「国指定和白干潟・多々良川河口鳥獣保護区」指定のための地元縦覧があり、意見募集がありました。和白干潟を守る会からは8 名が意見書を出しました。
 8 月から9 月にはパブリックコメントがあり、全国からの意見募集がありました。
 JAWAN メールでもお知らせいただき、意見を出していただきました。

公聴会で意見発表(9 月4 日)

 9 月4 日には環境省福岡事務所で公聴会が開かれ、福岡県知事代理、福岡市長代理、福岡市漁協組合長、東部農協組合長(欠席)、福岡県猟友会、日本野鳥の会福岡支部長、和白干潟を守る会代表の7 名が意見を述べました。保護区指定に反対の意見はありませんでしたが、福岡市長は博多港港湾計画などの整備に支障とならないことを求めました。
 私は公述人に選定され、以下のような意見を述べました。
 「国指定和白干潟・多々良川河口鳥獣保護区を指定することについての賛否」については賛成し、「その他重要事項」では、以下を要望しました。

 ①将来的に早い時期に「特別保護地区」にして、ラムサール条約に登録してほしい。
 ②和白干潟の重要性を市民に周知するために、保護区の看板をしっかりしたものに立て替えてほしい。
 ③自然保護団体や一般市民が参加できる地元懇談会を開催してほしい。

 私の意見に対しては、司会が以下のように答弁しました。

 「特別保護地区については、国際的に重要なので今後の課題。地区住民の理解を求める。
 看板の内の「案内板」は市港湾局の案内板があるので省いた。予算問題もある。地元懇談会は、周辺農地の食害に関して設置されており、別には設ける予定は無い。意見があれば個別、他団体と一緒に来てくれれば相談に応じる。市民の意見はパブリックコメントで出してほしい」。

 和白干潟を守る会は特別保護地区に指定してほしいのが一番の要望ですが、現実は厳しく課題として先送りされました。それには、特別保護地区に指定されると、更なる開発や公共事業を規制されることに危惧を抱く福岡市の意向が強く反映されていることがよくわかりました。
 また、保護地区に農地は存在しないにもかかわらず、周辺農地の鳥(カラスやヒヨドリ)による食害が地元懇談会で報告され、地元の理解が得られていないという判断ですが、農協が公聴会に欠席では質問もできませんでした。懇談会を市民参加で、オープンな議論の場に改めようという守る会の提案が取り上げられないことは非常に残念です。国の手続きはなかなか民主的にはなりませんね。
 今後は、10 月には国の審議会で審議され、11 月1 日付で官報告示として発表されるそうです。国指定鳥獣保護区の存続期間は10年間です。

 

和白干潟のラムサール条約登録へ向けて

 和白干潟は2004 年には環境省の「ラムサール条約登録湿地の候補地」に選ばれています。もう10 年になりますが、なかなか指定は厳しいです。しかしあきらめずに取り組んで行きます。
 昨年11 月に始めた「和白干潟のラムサール条約登録を求める署名」は毎月1 回、街頭署名活動をしてきました。現在約7000 名の署名が集まっています。今後も続けて、今年12 月に第1次集約、来年2014 年12 月に第2 次集約をします。今後ともご協力をよろしくお願いします。
 11 月17 日に予定している「第25 回和白干潟まつり」でも、キャッチフレーズ「ラムサール条約登録をめざして」を掲げています。会場では署名も集めます。1 年に1 回地元の人たちといっしょに和白干潟の自然観察会を楽しみます。コーラスやマジックショーや写真展などもあります。

子どもたちと自然観察会

 最近の企画観察会としては、8 月に「和白干潟の湧水観察会」をしました。自然海岸が残っており、沿岸の開発が少ないことで、和白干潟にはたくさんの湧水があり、海水を浄化していることを実感しました。私たちにとっては新たな素晴らしさの発見でした。
 今後も和白干潟のクリーン作戦や自然観察会を継続して、保全活動を進めていきます。
 そして、和白干潟のラムサール条約登録を目指します。全国の湿地保全活動の皆様もともに頑張りましょう。

(JAWAN通信 No.106号 2013年11月14日発行から転載)

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