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「瀬戸内法」改正請願署名を衆参両院に提出

環瀬戸内海会議 事務局長 松本宣崇

■リヒトホーフェン

 明治初年、ドイツの地理学者でシルクロードの名付け親でもあるフェルナンド・フォン・リヒトホーフェンは、瀬戸内海を旅し、そこに地上の楽園を見いだしました。
 しかし、彼の鋭い洞察力は、「(瀬戸内海保全の)最大の敵は、文明と、これまで知らなかった欲望の出現である」と結んでいます。そして、工業文明の肥大化は瀬戸内海一円に野放図な埋め立てを生み、大量消費という名の欲望の果てを、豊(て)島(しま)で見せつけました。
 もし、リヒトホーフェンが、コンクリート護岸で覆われ、灰色の建造物が建ち並ぶ現在の瀬戸内海をみたら、決して「長い間保たれてきた状態が、その後も変わらずにあった」とは言わないでしょう。
 いまでは貧酸素水域が生まれ、魚の住めない海域すら発生しています。瀬戸内海の最大の敵「文明と欲望」に向き合うことができるのは、「知恵」なのかもしれません。

写真1
江田五月参院議員(左から4人目)に請願署名を渡す環瀬戸内海会議のメンバー=3月26日、参議院議員会館

■瀬戸内海

  瀬戸内海は1万年ほど前に産声を上げた若い海です。世界的にみても、とても珍しい文明と自然が共存する閉鎖性海域です。平均水深が極めて浅く、陸水の影響を受けやすいことから生まれた生態系は、比類のない豊かさを誇りました。
  瀬戸内海は世界で最も美しい場所と言われたところであると同時に、その保全回復には世界で最も知恵を必要とする場所でもあるのです。瀬戸内海は守れるか──。それを試されているのは誰でもありません。あなたであり、私なのです。
  ザル法と言われて久しい瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)。私たちは10年余、瀬戸内海の環境を守り育み、次世代に引き渡すため、埋め立て、産廃持ち込み、海砂採取の全面禁止を瀬戸内法に明記し、瀬戸内海の環境を保護するために法規制を強化すべきであると提言して、10万筆余の署名を集めてきました。

写真2
岡山県瀬戸内市牛窓の展望台から撮った瀬戸内海

■「瀬戸内法」改正請願署名を提出

 昨年11月に続く今年3月25〜27日のロビー活動において、請願署名を提出し、院内学習会の呼びかけを提起するところまでこぎつけました。それでも問題提起したということでしかありません。知恵を集積させる必要に迫られるのはむしろこれからです。今後とも多くの皆さんのご参加をお願いいたします。
 瀬戸内海環境保全知事市長会議が、「瀬戸内新法」制定に向けて先行して活動しています。すでに自民党内には瀬戸内圏選出議員による瀬戸内海環境再生議員連盟が立ち上げられています。また、「埋め立て全面禁止」は、他の法との整合性でクリアすべき課題を残しています。院内学習会(集会)を実現させ、「これ以上埋め立てさせない」という市民・住民の思いに、議員の理解を得ていかねばなりません。皆様のご協力をお願いします。
  署名にご協力頂いた皆様には、紙面を借りて署名提出の報告とともに感謝申し上げます。またこの間、国会議員へのロビー活動にご協力いただいた首都圏の皆様には重ねてお礼申し上げます。
 
 3月25〜27日、首都圏の皆様にもご協力をいただいて請願署名提出要望を行い、すでに衆参両院に提出されました。

 〔請願署名提出の紹介議員〕(順不同)

江田五月 参議院議員(岡山・民主) 8,000筆
菅 直人 衆議院議員(東京・民主) 8,000筆
仁比聡平 参議院議員(比例・共産) 8,000筆
玉木雄一郎 衆議院議員(香川・民主) 8,000筆
吉田忠智 参議院議員(比例・社民) 8,000筆
桜内文城 衆議院議員(愛媛・維新) 8,000筆
辻元清美 衆議院議員(大阪・民主) 11,045筆
 

残念ながら、自民党所属の国会議員の皆様には紹介議員になっていただけませんでした。

写真3
玉木雄一郎衆院議員(こちら向き)に要請=3月26日、衆議院第一議員会
(JAWAN通信 No.107 2014年5月31日発行から転載)

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