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行徳野鳥観察舎の再開・存続を求める

〜千葉県が廃止の方針〜


 行徳野鳥観察舎は「行徳近郊緑地特別保全地区」(市川市)の一角にあります。この保全地区は、千葉県指定の「行徳鳥獣保護区」と宮内庁所管の「新浜(しんはま)鴨場」で構成されます。面積は約83haです。
 行徳野鳥観察舎は鳥獣保護区の核となってきた施設です。その観察舎を廃止するという方針を県が打ち出しました。廃止の理由は「行政改革」です。そして2015年12月28日、耐震強度不足を理由に野鳥観察舎を無期限休館にしました。突然の措置です。

図3-1

*県に存続を要請

 そこで、三番瀬保全団体や千葉県野鳥の会のメンバー、市川市民は2015年12月25日、行徳野鳥観察舎を所管する県自然保護課と話し合いました。
 参加者は、行徳野鳥観察舎がはたしている重要な役割を説明し、野鳥観察舎の早期再開と存続を訴えました。こんな意見がだされました。
 「私は行徳野鳥観察舎がオープンした40年前からこの野鳥観察舎にかかわっている。その当時、野鳥観察舎は全国でもここしかなかった。この観察舎は千葉県が誇るべき施設である。全国の野鳥愛好家の間では行徳野鳥観察舎を知らない人は少ない。だから、野鳥観察舎を廃止するという方針は全国的な話題になっている。利用者の声を無視して廃止するのはやめてほしい」
 「行徳野鳥観察舎はたいへん重要な役割をはたしている。一つは観察機能だ。行徳湿地(鳥獣保護区)の鳥を観察舎から観察できる。二つめは管理機能だ。鳥獣保護区を管理したり、傷病鳥を収容したりしている。三つめは利用者の休憩機能だ。鳥獣保護区にやってきた人が館内で休憩したりトイレを利用したりすることができる。県は、行徳湿地と傷病鳥収容施設(野鳥病院)は今後も維持するとしている。それらを維持・保全するためにも、3つの機能を備えた建物を早急に再建してほしい」
 観察舎の再開・存続を求める署名は、2月上旬で1万筆を突破しました。

写真3-1
県自然保護課に野鳥観察舎存続を要請=2015年12月25日
写真3-2
市川市の自然環境課長に対し、野鳥観察舎存続への尽力を要望した
=2016年1月22日

*JAWANも要望書を提出

 県行政改革審議会が2016年1月19日に開かれ、行徳野鳥観察舎の廃止方針案を審議しました。審議の結果、「耐震面から建物は解体するのが適切」との方向性を示したうえで、跡地利用について県と市川市とで協議を進めるよう提案しました。
 この提案を受けて、三番瀬保全団体などは1月22日、地元の市川市と話し合いました。「野鳥観察舎の存続に尽力してほしい」という要望にたいし、担当課(自然環境課)の北市勝課長はこう答えました。
 「行徳野鳥観察舎が立地する行徳近郊緑地特別保全地区は、『生物多様性いちかわ戦略』において、生物多様性の核となるエリアとして位置づけられている。また、野鳥観察舎は鳥獣保護区の管理や活動の拠点になっている。行徳野鳥観察舎は重要な施設である」
 2月3日、市川市の大久保博市長は森田健作知事に面会し、行徳野鳥観察舎の存続を求める要望書を提出しました。市長は「費用負担にも応じる」としています。
 三番瀬保全団体などは2月9日も県自然保護課と話し合いました。この日はJAWANも要望書を知事に提出しました。
 

写真3-5
担当の戸部知子部長(右端)に要望書を手渡した日本湿地ネットワークの牛野くみ子共同代表(中央)=2016年2月9日、千葉県庁で
写真3-4
行徳野鳥観察舎
写真3-3
家族連れや野鳥愛好者などで大にぎわいの行徳野鳥観察舎=2015年12月27日
写真3-6
行徳鳥獣保護区=2015年12月27日、野鳥観察舎から撮影
(JAWAN通信 No.114 2016年2月20日発行から転載)

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