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■自然と環境を守る交流会の講演(要旨)

強大な相手とたたかうために

「よみがえれ!有明訴訟」弁護団長 馬奈木昭雄さん

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馬奈木昭雄さん

 私は四十数年にわたってたたかいつづけてきた。そのなかで感じたことをお話しさせていただく。
 たとえば諫早裁判である。私たちはこの裁判を「よみがえれ!有明」と名づけている。私たちは有明海をよみがえらせるためにたたかっているわけではない。ムツゴロウのいのちを守るためにたたかっているわけでもない。地域としての有明をよみがえらせるためにたたかっている。
 筑後川は有明海を育んでいるもっとも基本的な川だ。その筑後川の上流でなにが起きているのか。もう山林ではやっていけないから木を切り倒す。そして、そこを産廃処分場にする。山という山はゴミ捨て場になりつつある。水がそこで誕生し、川を流れて海を養っていくはずの山が荒れはててしまっている。
 さらに、有明海にそそぐ川にダムや河口堰がつくられた。その結果、有明海は大異変が起きた。徐々に有明海は衰弱していった。そこにとどめの一撃を加えようとしたのが諫早の干拓事業である。
 山、川、海、そしてそこに生活している人のいのち。これらは一体のものだ。私は、山から川から海まで全部とりくんでいる。
 解決策を考える場合は、各専門家の知恵を出し合うことが大事だ。現地で生活しておられる方々の意見も重要である。たとえば弁護士が頭の中でいい解決策を考え出す。夢にもそんなことを思ったら、まちがえるにきまっている。
 専門家の知恵や技術者の技術をその地域で生かすためには総合討議が必要だ。総合的な討議の場をどうやって設定するのか。私がこれまで運動にとりくんできたなかでもっとも必要と考えるのは、そのような場の設定の仕方、工夫である。
 私たちは、物事を解決するのに、たとえばどの法律の何条でものごとが解決するとは考えたことがない。
 「正義は勝つ」ということがよく言われる。だが、私たちは正義が勝つとは思っていない。もちろん、われわれが道義的に正しくなければ話にならない。しかし、正しいことを言うだけでは勝てない。力を持った正義が勝つ。力というのは国民世論である。国民の支持をどうやって勝ちとるか。それが勝負になる。
 テーマはそれぞれ違うが、根っこはひとつだと思っている。ぜひ、みなさん方と力を合わせて勝ち抜こうではありませんか。

(JAWAN通信 No.114 2016年2月20日発行から転載)

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