オスプレイや戦闘訓練のない世界自然遺産に
〜高江住民の生活と森の自然環境を守ろう!〜
「やんばるの森にオスプレイパッドいらない! 本当の世界自然遺産登録をめざそう」集会が4月15、16日、東京で開催された。1日目は院内集会・記者会見・環境省申入れに70名が参加、翌16日の集会には260名が結集した。集会で語られた問題、及び17〜22日、筆者が辺野古・高江の現場で見聞した内容も加えて報告したい。
◆やんばるの森は人類の貴重な遺産
沖縄本島北部「やんぱるの森」の植生は豊かだ。ブナ科のイタジイが多く、山肌は愛称の「ブロッコリーの森」そっくりで心が和む。生物多様性に富み、野生生物は4000種超、固有種・同亜種の植物12種、動物11種、絶滅危惧種のレッドリストも約180種と多彩だ。降水量も豊富で清流に恵まれ、5か所にダムが造られ、沖縄本島の飲料水の6割を供給している。
この森の7500haは米軍ジャングル戦闘の訓練場で、国頭村(くにがみそん)の面積の23.1%+東村の実に41.5%が接収されている。その北半分・約4000ha返還の話があるが、東村「高江」集落を囲む位置6か所の大型ヘリパッド建設が条件とされた。このうち2か所のヘリパッドはすでに完成し、オスプレイや大型ヘリの低空飛行訓練が昼夜続いている。
この「やんばるの森」に今、国立公園と世界自然遺産の指定が持ち上がり、環境省もその実現を期して推進している。その一方で、ヘリパッド建設や訓練場の固定化で、環境破壊、人や動植物の被害、水源汚染を招くのは、世界自然遺産の趣旨に反し、納得できるものではない。
◆校舎のタカの絵が危険を告発
オスプレイや大型ヘリによる低空訓練は、耐えがたいほど凄まじい。天然記念物で絶滅危惧種のノグチゲラが4羽、低周波などの衝撃で、高江小中学校校舎の窓に衝突死した。子育て中のノグチゲラの親鳥が巣に閉じこもる、雛の鳴き声が聞かれないとの報告もある。
住民は低周波や騒音、振動に悩まされる。それどころか、人々は攻撃訓練の標的にされている(映画とTV『標的の村』)。反対運動で道路に座り込んだ住民は「工事を妨害した」と、参加しなかった子供も含めて訴えられた。力の弱い者の抵抗を委縮させる目的の訴訟で、禁止している国もある。日本では初めてのことだった。
人々はまた、ジャングル訓練で飲料水が汚染することを、特に心配していた。訓練で汚れた森に雨が降る。汚れた雨水が沢、川に流れダムに溜まる。事故が多いオスプレイが墜落すると、飲料水が汚染する。被害はいつも弱い立場の人々に及ぶ。取り返しのつかないことが、今、起ころうとしている。
◆高江・やんばるの森は今後の中心課題
東京集会での報告は、①世界自然遺産について─清水暁氏:ヘリパッドいらない住民の会、花輪伸一氏:沖縄環境ネットワーク、②高江住民と米軍ヘリパッド、自然遺産の問題−伊佐真次氏:同住民の会・東村議、③北部3村の島ぐるみ会議・村議から−東村:仲嶺眞文氏、大宜見村:吉浜覚氏・東武久氏、国頭村:島津八子氏、④座り込みテントから─間島孝彦氏:高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会、⑤やんばるの貴重な動物たちとヘリパッドの影響─宮城秋乃:日本鱗翅(りんし)学会会員。いずれも現場からの切実な訴えだった。
集会後、主催者は「やんばるの森の世界自然遺産登録に関する大きな疑問−米軍基地被害を受けている地域住民からの要望」を、内閣府、防衛省、外務省、文化庁、林野庁に提出した。
高江のヘリバッド被害は、まだまだ知られていない。辺野古が「和解」として、海の埋立て工事が中断している今、沖縄防衛局よる高江への攻撃が十分予想される。今後は高江も、戦いの焦点としていくことになろう。
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