汐川干潟の保護運動回想記
/B5判316頁/1500円+送料160円
本書は、小柳津弘先生(2005年89歳にて永眠)が地域誌『海風』に1988年から2005年にかけて「汐川干潟の保護運動回想記」と題して寄稿された文章の復刻を元にして2012年に出版したものです。
小柳津弘先生は、「汐川干潟を守る会」(1975年結成)の代表として、愛知県の工業用地造成のための埋め立て事業から汐川干潟を守るために献身的に活動された方です。最近はそのことを知る人が少なくなってきました。
今の日本では、国も自治体も行政上の重要な課題として「環境保全」に取り組んでいますが、1960年代・70年代においては経済成長が優先され、「環境保全」や「公害反対」を訴える者は行政に逆らう異端者などとして非難されることが珍しくありませんでした。愛知県や田原町当局はそれなりの態度で接してくれましたが、それでも汐川干潟の保全をひたむきに、したたかに訴え続けた小柳津先生に、さまざまな形の非難・圧力が加えられたことは否定できません。
小柳津先生の部屋には韓国の抵抗詩人・金芝河と婦人運動家・市川房枝の写真が掲げられており、その訳を尋ねたところ「僕がどんなに大変でも、この二人ほどのことはないからね」と語っておられたことがそのことを物語っています。
現在ではNGO・NPO・行政当局によって汐川干潟を保全・活用する施策が行われており、たいへん喜ばしいことですが、それも時代に先駆けて行動した小柳津先生の努力・苦労があったればこそ、ということを私たちは決して忘れてはなりません。
小柳津先生は謙虚な方です。自分一人の活動ではなく、多くの協力団体・協力者の活躍も記しています。愛知県鳥類保護研究会、渥美半島鳥類観察グループ、豊橋野鳥同好会会長 鈴木恒信氏、田原自然友の会会長 太田金氏、北山郁子医師、三木武夫環境庁長官、干潟訴訟の中心となった豊橋市の牧野信男氏……。そして誰あろうJAWAN共同代表の辻淳夫氏です。
ぜひ一冊手にされ、日本で初めて成功した干潟保全運動を振り返っていただけることを願っています。 (大羽康利)
〔送金先〕三菱東京UFJ銀行田原支店 普 3056019
汐川干潟の保護運動回想記刊行委員会
代表 大羽康利
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