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和白干潟のラムサール条約登録を求める要望書

環境大臣 山本公一 様
 和白干潟を守る会
 代表 山本廣子

 福岡市の博多湾東奥部に位置する和白干潟(約300haの浅海域と約80haの干潟)は、東アジアの水鳥の渡りのルート、シベリアから日本列島を通り東南アジアやオーストラリアまで渡るルートと中国大陸から朝鮮半島を通り九州北部を通るルートの交差点に当たる国際的に重要な湿地です。水鳥たちの中継地、越冬地として有名です。クロツラヘラサギやツクシガモなどの絶滅危惧種や希少種などの水鳥たちも毎年飛来しています。水鳥たちがたくさんやってくるのは、餌となる貝、カニ、ゴカイなど底生動物が豊富であり、広くて安全な場所があるからです。また、これらの底生動物は海水を浄化しています。
 
 戦後日本では干潟の4割以上が埋め立てなどで失われた中で、2003年には和白干潟が「国指定鳥獣保護区」となり、2004年には「ラムサール条約」の国内登録候補地に選ばれています。また2009年には150万都市の中にありながら自然海岸の残る干潟として、国内の干潟では唯一「にほんの里100選」に選ばれました。和白干潟沿岸には、ハマニンニクやウラギクなどの貴重な塩生湿地植物も豊富です。
 
 和白干潟を守る会は、博多湾の相次ぐ開発で浅海域を失い、浄化能力を落とした博多湾の中にある和白干潟を市民の力で守っていこうと、28年前に結成しました。会の活動は干潟の清掃活動、保育園児から社会人までを対象にした自然観察会などの環境教育、鳥類調査、水質・砂質調査、ゴミ調査、地域との交流を図る「和白干潟まつり」などの活動を続けています。これらの活動に対して2011年には福岡市長推薦の下、100年後もこの貴重な干潟を守る使命を託され、日本ユネスコ協会連盟から「第5回プロジェクト未来遺産」に登録されました。
 
 市民と自治体が力を合わせて貴重な自然を守っていくのは責務であります。日本の中でも早急にラムサール条約登録が急がれる湿地として和白干潟は日本湿地ネットワークの決議にも取り上げられています。
 
 環境省におかれましては、ラムサール条約登録には自治体の申請を待つ、と言う消極的姿勢を改め、早急な対応の必要な候補地として優先して登録されますよう要望いたします。

(JAWAN通信 No.117 2016年11月30日発行から転載)

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