三番瀬のラムサール条約登録と
利用ルール周知策を要望
〜7団体が船橋市に〜
三番瀬を守る署名ネットワーク、三番瀬を守る会など三番瀬保全7団体は1月12日、三番瀬のラムサール条約登録と利用ルールについて船橋市と話しあった。
■提出署名は17万2千人分
7団体は、三番瀬のラムサール条約登録に船橋市が積極的に動くよう要望した。
70団体で構成する「三番瀬を守る署名ネットワーク」は昨年9月、三番瀬のラムサール条約登録を求める2万人分の署名を千葉県知事に提出した。提出署名の累計は17万2019人分に達した。署名のあて先は県知事と関係4市(市川市、船橋市、浦安市、習志野市)の市長である。
ラムサール条約登録について、担当の船橋市環境政策課長はこう答えた。
「船橋市は三番瀬のラムサール条約登録に賛成している。しかし登録にあたっては漁業協同組合の同意が必要となる。船橋市漁協は『漁場再生が先』と言っている。また、三番瀬は県と4市がかかわっているので船橋市が単独で動くことはむずかしい。本市としては、いまできることとして、昨年7月1日に三番瀬環境学習館をオープンさせた。環境学習館において、次世代をになう子どもたちなどを対象に
野鳥観察などの環境学習をすすめたり、情報を発信したりしている」
7団体はこう要望した。
「葛西三枚洲は、地元の江戸川区長と都知事が積極的なので、今年開催されるラムサール条約締約国会議で登録できそうだ。野鳥の飛来数は葛西三枚洲よりも三番瀬のほうが多い。三番瀬も登録できるよう動いてほしい」
「船橋市漁協は三番瀬の埋め立てに賛成し、漁業補償金をもらって漁業権を全面放棄した。ところが埋め立てが中止になったので、その後は1年更新の短期免許で漁業をつづけている。それなのに漁協が同意しないからラムサール条約に登録できないというのはおかしい」
「有明海の荒尾干潟は、地元の荒尾市が積極的に動いたためにラムサール条約に登録された。市が荒尾漁協を説得した。2016年12月に法政大学で開かれたラムサール条約のシンポジウムでは、荒尾漁協の組合長さんも報告し、『ラムサール条約に登録されたからといって漁業関係のトラブルはおきていない。逆に登録のおかげで活発な動きができるようになったので喜んでいる』と話された。登録は荒尾市の観光振興にも役だっている。ぜひ荒尾干潟を視察し、荒尾市に話を聞いてほしい」
今後も話しあいをつづけることになった。
■利用ルールを実現
三番瀬では、ふなばし三番瀬海浜公園前の利用ルール化が実現した。船橋市と市川市が共同で管理している区域について、船橋市が「利用に関する行政指導指針」を制定し、昨年7月1日に施行したからである。
行政指導指針ではこんな行為を禁止している。①花火、たき火、バーベキューなど火気を用いること。②ゴルフ、ドローン、ラジコン機、モーターパラグライダー、カイトサーフィン、水上オートバイの使用、犬の放し飼いなど、他の利用者の身体に危害をおよぼすおそれのある行為をすること。
三番瀬は利用ルールのないことが問題になっていた。水上オートバイ、モーターパラグライダー、ゴルフなどの危険な行為がやりたい放題になっていた。そのため、潮干狩りなどの利用客は危険にさらされていた。モーターパラグライダーなどによって野鳥が追い散らされることもあった。日本有数の渡り鳥の飛来地なのに、野鳥が干潟や浅瀬に飛来することができない。そういうことも起きていた。
そこで、7団体は利用ルールづくりを県や船橋市にもとめた。2016年以降、船橋市と3回話しあった。その結果、ルール化が実現した。
■「看板を3月末までに設置する」と回答
その後、モーターパラグライダーは飛ばなくなった。しかし、ラジコン機を飛ばしたり、ゴルフをしたりしている人がいる。その原因のひとつは、利用ルールを掲載した看板が現地に設置されていないことである。
そこで、1月12日の話しあいで看板の設置をもとめた。担当の商工振興課長はこう答えた。
「海浜公園前の三番瀬は船橋市と市川市が共同で管理している。利用ルールを周知する看板は昨年中に設置したかった。しかし、市川市との協議に時間がかかったので遅れている。やっと市川市の了解を得たので、とりあえず2カ所に看板を設置することにした。これから事務手続きをすすめ、3月末までに設置する予定だ」
7団体は看板設置後の様子をみることにしている。
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