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■シンポジウム「日本の湿地を守ろう2018」の報告要旨

埋め立て土砂の沖縄への搬出は環境破壊や問題がいっぱい!

反辺野古埋立土砂搬出/首都圏グループ
共同世話人
若槻武行さん

 今年1月の沖縄・名護市長選挙は多くの人々の予想に反し、残念な結果に終わった。しかし投票直前の調査では、辺野古新基地建設に反対する人が3分の2以上いた。選挙後に翁長知事らが言っているように、新基地反対の民意は変わっていない。
 辺野古新基地の護岸工事は、昨2017年4月に大浦湾側のK9護岸からはじまり、辺野古崎南西側のK1・K2・N5の護岸工事にすすんでいる。しかし、それらは護岸総延長7151mのまだ6%だけである。
 本格的な護岸工事は、これからはじまる。これらの工事のほとんどを、翁長知事はまだ承認していない。政府・沖縄防衛局は本格的な工事を避け、必要な手続きを先送りし、簡単な部分の工事をはじめたにすぎない。それなのに「工事が進んでいる」「闘っても勝てない」とあきらめムードを浸透させようとしている。名護市長選ではその戦術が一定の成果をあげた。
 新基地の埋め立てには約2100万?の土砂が必要とされる。そのうち1644万?は岩ズリと呼ばれる石混じりの泥である。沖縄本島と県外の西日本各地から搬入する計画だ。
 県外からの土砂搬入では、特定外来の動植物もいっしょに入ってくる。その防止対策がいまだ明確になっていない。沖縄県には「公有水面埋め立て事業に関わる外来生物の侵入防止に関する条例」(土砂条例)があり、県は調査・規制できる。すでに西日本各地にはアルゼンチンアリやセアカゴケグ、オオキンケイギクなど、有害の特定外来生物が侵入している。沖縄防衛局は100度の高熱処理や燻蒸・塩水等の処理を試しているが、有効な対策がないようだ。
 辺野古の海は昨年4月のK9護岸予定地への石材投下によって海が白濁している。サンゴやジュゴン、ウミガメなどの貴重生物が死滅するのは明らかだ。一方、西日本各地の土砂搬出地の海や山の自然も破壊される。いずれも2012年に閣議決定された「生物多様性国家戦略」に反する。
 西日本各地からの埋め立て用土砂搬入に反対する闘いでは、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会に結集する18団体がさまざまな運動をくりひろげている。

(JAWAN通信 No.123 2018年5月20日発行から転載)

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