■シンポジウム「日本の湿地を守ろう2018」の報告要旨
三番瀬はなぜラムサール条約湿地をめざすのか
三番瀬を守る署名ネットワーク
代表 田久保晴孝さん
日本には韓国やアメリカなどにある湿地保全法がない。ラムサール条約は湿地保全を目的とする国際条約である。日本は1980年に条約に加盟している。
ラムサール条約の理念が国や都道府県などの開発側に理解されていれば、三番瀬埋め立て計画や諫早湾閉め切り、泡瀬干潟埋め立てなどは起きなかったと思う。
日本は湿地保全に関しては後進国である。埋め立てや干拓などの開発に対抗できる国内法の整備が急がれる。
三番瀬は登録基準はクリアしているが、登録の担保となる国指定鳥獣保護区化が進んでいないため、登録が先延ばしにされている。
環境省(国)は、三番瀬を重要湿地500に入れ、ラムサール条約登録湿地をめざす17湿地にも入れている。
国指定鳥獣保護区化は公聴会を開いて反対がないことで動き出すが、いまだにこの手続きに入っていない。県や関係市は、早期登録に反対している漁業者に対する働きかけを積極的におこなっていない。
船橋市漁協は、2008年3月に議決した三番瀬のラムサール条約登録促進を撤回し、「漁場再生」を最優先にすることを決めた。しかし、漁場再生と登録湿地は矛盾しない。
ラムサール条約湿地登録にはロマンがある。市民や子どもの関心が高まり、水鳥や魚や漁業を守る力になる。水産物のブランド化や観光資源にもなる。
三番瀬をラムサール条約湿地に登録することで、三番瀬の特徴を活かした保全をはかり、水鳥や子供たちに生物が豊かな三番瀬を残していきたい。
私が代表をつとめる「三番瀬を守る署名ネットワーク」は、ミニブック『ラムサール条約とは?』を発行し、早期登録のための署名活動などをつづけている。2017年9月、2万人の追加署名を提出した。提出署名は累計で17万2019人分となった。
(JAWAN通信 No.123 2018年5月20日発行から転載)
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