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■シンポジウム「日本の湿地を守ろう2018」の報告要旨

盤洲干潟の現状と課題

小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会 事務局長 御簾納照雄さん

 盤洲干潟(小櫃川河口干潟)は、東京湾の小櫃川河口に広がる国内最大規模の砂質自然干潟である。
 盤洲干潟は前浜と後浜(三角州)からなる。前浜に広がる干潟は、小櫃川河口をはさんで北は袖ケ浦市から南は木更津市までの海岸十数キロ、総面積は1400haにおよぶ。最干潮時は2キロ先まで干潟が干出する。水際が見えないほど遠くまで干潟があらわれる。
 三角州の面積は43haで、塩性湿地が広がっている。ヨシ原のなかを歩いて海にでる。そういうところはほかではなかなかみられないと思う。
 三角州には多様なカニ類がたくさん生息している。ハママツナ、シオクグといった塩性湿地植物の大群落もみられる。
 東京湾アクアライン(横断道路)の開通や温泉・ホテル複合施設(龍宮城スパ・ホテル三日月)の開業など周辺の開発もあり、三角州の一部ではかつてない変化が起きている。侵食されたところと砂が堆積しているところがある。
 三角州のアシ原には、環境省絶滅危惧Ⅰ種に指定されているキイロホソゴミムシも生息している。キイロホソゴミムシは世界でここにだけ生息しているとされている。
 2014年は、これまで知られていなかった新種のカニが盤洲干潟に生息していることが発見された。盤洲干潟で発見されたのでバンズマメガニと命名された。このように、盤洲干潟は生物相が非常に豊かで、自然の宝庫となっている。
 最近、盤洲干潟に隣接する袖ケ浦市の埋め立て地で石炭火力発電所の建設が計画された。総出力200万kWという大規模な発電所である。毎秒84トンの温排水が盤洲干潟に流れてくる可能性があるので、これにも反対しなければならなくなった。
 連絡会は、盤洲干潟を後世に残すため、自然環境保全区域指定やラムサール条約登録をめざしている。

(JAWAN通信 No.123 2018年5月20日発行から転載)

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