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■シンポジウム「日本の湿地を守ろう2018」の報告要旨

大切な和白干潟の自然を未来の子どもたちに残すために

和白干潟を守る会 中野悠紀子さん

 和白干潟は2003年に国指定鳥獣保護区となったが、ラムサール条約登録はまだ国内候補地のままである。和白干潟沖に401haの人工島ができたために潮流が変化し、自然環境が悪化している。渡り鳥飛来数の減少やアオサの発生、ごみの漂着などである。
 2012年11月から2014年11月まで、ラムサール条約登録を求める署名を集め、福岡市長と環境大臣へ約1万人分ずつを提出した。署名提出時に福岡市環境局とはじめての話し合いが実現し、今後市民の理解を得るための議会向け対応を検討することになった。
 第2次の署名活動(請願署名)は2015年11月からはじめ、月2回の街頭署名をすすめた。2017年3月は、署名5134人分を添えて「博多湾・和白干潟のラムサール条約登録を求める請願書」を福岡市議会議長あてに提出した。提出にあたっては、事前に東区の議員のほか各会派に請願採択への理解を求める活動をおこなった。
 その結果11人の議員が紹介議員となり、8月21日、市議会の第5委員会で審議された。委員会では、請願の趣旨について山本代表が意見陳述をした。守る会会員も多数傍聴した。紹介議員から請願の趣旨がくわしく説明された。だが、ラムサール条約登録地の前提となる国指定鳥獣特別保護区の指定に否定的な福岡市の姿勢は依然変わっていない。そのため、たくさんの署名をもってしてもラムサール条約登録の請願は採択されないまま継続審議となった。
 市は「和白干潟は貴重な干潟であることは認識しているが、市民の意識を高め、合意形成ができれば次世代につなげたい」との見解である。先送りするばかりでなんら積極的な姿勢はみられなかった。次回のラムサール条約登録をめざして活動をつづけていく。

(JAWAN通信 No.123 2018年5月20日発行から転載)

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