トップ ページに 戻る

日本の湿地を守ろう

─JAWANと「アンパルの自然を守る会」が石垣島でシンポジウム─


日本湿地ネットワーク(JAWAN)と「アンパルの自然を守る会」は2019年3月31日、「日本の湿地を守ろう 2019」と題したシンポジウムを石垣島でひらいた。シンポは「守る会」の結成10周年記念行事も兼ねた。

午前は名蔵アンパルを観察した。参加者は28人。うち、本土からの参加は13人である。アンパルは海とつながるマングローブ湿地だ。2005年にラムサール条約に登録された。

2007年は西表石垣国立公園に編入された。 砂州内側の干潟の面積は約20ha、マングローブ林は約62ha、湿地草原は約40haにおよぶ。

干潟の奥には緑豊かなマングローブ林が広がっている。本土では見ることのできないものをたくさん観察した。マングローブはヤエヤマヒルギ、オヒルギ、ヒルギモドキなど。植物はアダン、グンバイヒルガオ、ハイビスカス、パパイヤ、オオハマボウ(別名:ユウナ)など。底生生物はキバウミニナ、アラスジケマンガイ、シレナシジミ(日本最大のシジミ)、イソハマグリ、オハグロガキ、オキナワハクセンシオマネキ、リュウキュウコメツキガニなど。魚はミナミトビハゼ、クロサギ、ゴマフエダイ、オキナワフグ、ツムギハゼなどである。本土からの参加者にとっては感動ものであった。

午後は県立石垣青少年の家でシンポジウムだ。アンパルの自然を守る会共同代表の島村賢正さんは「八重山の自然」、同会幹事の谷崎樹生さんは「アンパルの変遷と再生計画」、同会アドバイザーの藤本治彦さんは「石垣島の河川の特徴とアンパルを中心とした生態系」、同会幹事の干川明さんは「石垣島の水調査」と題して講演した。同会事務局長の山崎雅毅さんは「アンパルの自然を守る会の10年」を報告した。石垣島では陸上自衛隊のミサイル基地建設工事がすすんでいる。基地建設にともなう自然破壊の報告もあった。

写真1-3
ラムサール条約湿地の名蔵アンパルを観察する「日本の湿地を守ろう 2019」の参加者=2019年3月31日、沖縄県石垣市
写真1-3
マングローブ林やめずらしい生き物に感動しっぱなしの参加者=名蔵アンパル
写真1-3
山崎雅毅さんの報告を聞くシンポジウムの参加者=沖縄県立石垣青少年の家
図1-1

JAWANのメンバーは、日本の湿地をめぐる現状や、辺野古新基地建設の埋め立てに用いる土砂搬出の問題、湿地と水鳥をめぐる現状などを報告した。「各地の報告」として、和白干潟、中池見湿地、東京湾三番瀬の現状も報告した。シンポジウムのあとは、地元の石垣牛を使ったバーベキューで懇親を深めた。

翌4月1日は石垣島観光である。「守る会」のメンバーに、石垣島鍾乳洞、バンナ岳展望台、みんさー工芸館、巨大津波石を案内していただいた。

(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

>> トップページ >> REPORT目次ページ