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■石垣島シンポジウムに参加して

観光開発、軍事基地建設など難問山積の石垣島

辺野古土砂搬出反対首都圏グループ 山崎眞純

石垣島は沖縄本島と比べると、名蔵アンパルや宮良川マングローブ林、そして自然林の海岸が普通に存在するなど、豊かな自然が残されています。

名蔵アンパルはラムサール条約登録地です。八重山石垣国立公園にも編入されました。しかし、上流の石垣島精糖(三井製糖)工場の温排水放流による水温上昇、大型リゾートホテル建設による排水、陸上自衛隊ミサイル基地建設による環境、動植物の生態系の悪影響が懸念されています。

石垣島全体も、急ピッチの観光開発のためのインフラ工事、ゴルフ場、リゾートホテル建設の波に飲まれ、八重山特有の豊かな自然に危機が迫っています。

2年前、辺野古土砂搬出反対首都圏グループのメンバー4人と沖縄本島の高江、辺野古ゲート前座り込みに参加したあと、石垣島の自衛隊配備計画の実情を知りたくて訪ねました。陸上自衛隊ミサイル基地建設予定地の於茂登岳の麓の平得大股地区、名蔵アンパルなどを兄の案内で見てまわりました。

その夜の飲み会で、建設予定地にされている花谷農園の花谷史郎さん(現市議会議員)とお会いしました。今回のシンポジウムでも再会です。花谷さんは、現在は「アンパルの自然を守る会」の役員をつとめ、自衛隊ミサイル基地反対の中心で運動されています。辺野古と石垣の反対運動の情報を交換し、問題を共有できる時間をもう少しとれればよかったと思いました。

宮古島では自衛隊駐屯地に自衛隊が配備され、石垣島でも土地取得済みの一部で駐屯地の建設が進んでいます。だが、予定地の半分は未取得地で、住民の多くが反対しています。予定地は飲み水や農業用水に使う宮良川の水源に近く、基地から出る有毒化学物質の流入の危惧とカンムリワシなどの希少動植物や水源への影響も心配されます。環境影響評価、説明責任、合意形成をすっとばして工事を進めています。市長、議会は市民の生命、健康、安全を守る義務があるのに外交と安保は政府の専権事項として責任放棄し、防衛省を手助けしている始末です。

石垣、宮古など西南諸島の軍事要塞化の基地建設反対の運動は辺野古よりきびしく、複雑です。県知事もオール沖縄も、西南諸島の自衛隊基地建設には反対の態度を示していません。自衛隊容認の世論、また、尖閣諸島、中国〈脅威?)の問題もあります。

しかし、沖縄の歴史の教訓から、軍隊は敵を倒すだけで住民はけっして守りません。制空権は中国に握られているので、米軍の沖縄海兵隊の沖縄から撤退が検討されている中での自衛隊軍事要塞化こそが住民の犠牲を招く最大の危機となります。

日本(本土)の盾とされ、沖縄を捨石にする差別構造であることを、沖縄、八重山諸島の人々は気がついています。若者が中心に立ち上がり、多くの自然保護団体も参加するなど、民意を守らせる反対運動の広がりを確信しています。戦争は最大の自然破壊ですから。

(JAWAN通信 No.127 2019年5月30日発行から転載)

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