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政府の辺野古新基地「設計概要変更申請」に反対し、  全国から意見書を沖縄県に送ろう

辺野古土砂搬出反対首都圏グループ/環瀬戸内海会議 若槻武行

4月21日、沖縄防衛局は沖縄県に辺野古新基地工事に関する「設計概要変更申請」(以下「変更申請」)を提出した。今回の「変更」の最大の問題は、大浦湾側の深場の軟弱地盤の工事である。

軟弱地盤改良には、新たに350万m3の海砂(沖縄県の2年間分の採取量に相当)が必要とされる。工期は今後12年、総工費は当初の2.7倍の9300億円(沖縄県は2兆5500億円と試算)に膨らむ。

さらに、埋立て土砂については75%を西日本各地から搬入する計画だったが、海砂・土砂の双方とも沖縄県内中心に調達すると変更。それにより、有害な外来生物の侵入を防ぐ沖縄県土砂条例の規制の回避と、県内業者の一部に利権の拡大で、世論の分断を狙っている。さらに、西日本の各土砂搬出地に広がった土砂搬出反対の運動と沖縄県民の新基地建設反対運動との結び付きも断ち切りたいのだろう。

*真実を隠し、嘘で欺く

政府は建設予定地の大浦湾側に軟弱地盤があることをひた隠しにし、別の辺野古側のサンゴ礁の浅瀬に土砂投入を強行してきた。軟弱地盤の存在は、仲井眞元知事が行った埋立て承認時には想定外であり、「変更申請」というが、実は「新規工事」である。

これまで政府=沖縄防衛局は辺野古新基地建設について、はじめは建設工事の費用も期間も少なく言っておいて、後で大幅な変更をする。数々の嘘で国民を欺いてきたが、それが通じなくなった。だから今頃になって「設計概要」を変更するというのだ。

*環境破壊は計り知れない

しかし、これを許すと、沖縄の海と山の環境破壊は想像を絶するほど進む。軟弱地盤改良の砂杭によって、大浦湾全体へ汚濁が拡散する。2月には、B27地点の地質データ隠蔽も発覚している。ケーソン護岸基部にあたる重要地点であり、環境影響評価からのやり直しは当然のことだが、専門家から護岸崩壊の可能性まで指摘されても、再調査は拒否したままだ。

「辺野古は唯一の解決策」というが、これでは解決にならない。その破綻は誰の目にも明らかだろう。今、政府・防衛省がなすべきは、辺野古関連工事を中止し、沖縄県と国民に対し現状を隠さず報告し、辺野古新基地建設を断念することである。

「変更申請」は、全国にコロナ「緊急事態宣言」が発令され、国民や自治体に不要不急事案への自粛が求められる中で強行された。人命よりも米軍基地建設が優先なのか。辺野古新基地、F35の南西諸島への自衛隊配備など不要不急の防衛予算執行を停止し、コロナ対策と生活支援に回すことを決断すべきである。

図はいずれも『朝日新聞』2019年2月22日

*全国から意見書を送ろう

政府・防衛省は、沖縄県から「変更申請」の許可を得ることなしに、大浦湾側の工事に着手することはできない。沖縄県は「変更申請」について3週間の告示・縦覧を行う。

沖縄防衛局の変更承認申請書の告示・縦覧は、県の新型コロナの緊急事態宣言解除後の8月7日と予定していたが、感染拡大で告示・縦覧をさらに延期するようだ。閲覧期間中は県のホームページにも掲載されている。

我々はこの期間延長に乗じ、「設計概要変更申請」の不許可を求める意見書提出運動を全国に広げよう。意見書などのひな型はJAWANや環瀬戸内海会議、沖縄新基地に反対する「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会など各団体のホームページに掲載されている。

(JAWAN通信 No.132 2020年8月30日発行から転載)

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