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新行徳野鳥観察舎「あいねすと」がオープン

~市川三番瀬を守る会が貢献~


新しい行徳野鳥観察舎「あいねすと」が今年(2020年)10月11日に全面オープンした。オープンの裏には「市川三番瀬を守る会」の貢献がある。

図3-1
写真3-1
あいねすとの外観イメージ=市川市のホームページより
写真3-2 あいねすとの入り口

◆カフェも併設

新しい行徳野鳥観察舎(愛称・あいねすと)は市川市が建設した。同市福栄にある。建物は木造2階建て、延べ面積は約370m2だ。入館は無料。2階には観察スペースや多目的スペースがある。休憩スペースと授乳室もある。1階にはカフェがある。2階と中2階の観察スペースからは多くの渡り鳥が飛来する行徳湿地(行徳近郊緑地)を一望できる。望遠鏡は2階に22台、中2階に7台が設置されている。

建物は、丸い建物を2つつなげたかたちになっている。無限を表す数学記号「∞」をイメージしたという。

愛称の「あいねすと」は、市が実施した公募と人気投票によって決まった。投票数1574票のうち、「あいねすと」は約半数の714票を得た。Ichikawa(市川)の頭文字「I」と「愛」を合わせ、巣を意味する英語「ネスト」を組み合わせたネーミングである。

写真3-3 中2階の観察スペース
写真3-4 2階の観察スペース

◆市川市が再建

新しい観察舎は県営観察舎の跡地に建設された。1976年1月、鉄筋プレハブの建物が野鳥観察施設として使われるようになった。1979年12月には、鉄筋コンクリート3階建ての野鳥観察舎が県営施設としてオープンした。ところが県は、老朽化と行政改革を理由に県営の観察舎を2016年に廃止した。取り壊しは昨年である。

旧観察舎の跡地を市川市が国と県から借り受けて新しい観察舎を建て、市営施設として運営するようになった。建設費は約2億6000万円だ。

◆観察舎再建のいきさつ

観察舎再建の裏には「市川三番瀬を守る会」の貢献がある。

市川市長の村越祐民さんは2018年4月22日投開票の市長選で初当選した。村越さんは「市民にやさしい市長を選ぶ会」の政策骨子をかかげる市民の共同候補だ。政党では、立憲民主党、民進党、共産党、社民党、自由党、市民ネットワーク千葉県、新社会党、緑の党の8党が推薦した。幅広い市民と野党が一体となって村越さん当選のために奮闘した。

「市川三番瀬を守る会」は市川市を拠点に活動している。同会は村越候補を旧行徳野鳥観察舎や行徳湿地、三番瀬に案内し、観察舎の再建・存続や三番瀬の保全を選挙公約に盛りこむよう要望した。その結果、村越候補が観察舎再建と三番瀬保全を選挙公約に掲げてくれた。

三番瀬保全7団体は、就任したばかりの村越市長と面談し、行徳野鳥観察舎の再建・存続を要望した。こうしたいきさつがあって村越市長が野鳥観察舎を再建した。

市川三番瀬を守る会の谷藤利子会長はこう話す。

「新しい観察舎は眺望がよくなった。行徳湿地に飛来する野鳥や自然を楽しむことができる。1階にカフェができたため、付近を散歩する人たちの利用も増えた。授乳室もあり、赤ちゃん連れでも安心して利用できる。立派な施設ができた」

写真3-5

行徳野鳥観察舎の再建を求める要望書を村越祐民市川市長(中央右)に手渡す「市川三番瀬を守る会」の谷藤利子会長など三番瀬保全7団体のメンバー=2018年5月24日


JAWAN通信 No.133 2020年11月30日発行から転載)