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千葉県自然保護連合が50年記念誌を発行


千葉県自然保護連合は9月26日に創立50周年を迎えました。そこで「房総の自然を守る」と題した50周年記念誌を発行しました。全5集、1166ページです。

記念誌は干潟保全活動もくわしく紹介しています。日本最大級の砂質干潟である盤洲(ばんず)干潟を守る運動。干潟としては日本最初のラムサール条約湿地となった谷津干潟の埋め立て反対運動。そして三番瀬を守りぬいている運動です。

発行の目的は県内の自然保護運動の歴史や教訓を後世に残すことです。会員や関係団体のほか、次のところに送りました。国立国会図書館、国立歴史民族博物館、県立中央図書館、県内11市の図書館、県議会図書室、県文書館、県立中央博物館、住民運動資料収集機関など。印刷・製本は、すみだふれあいセンター福祉作業所にお願いしました。

市民運動を記録に残すことはとても大事です。メディアは無名の市民運動はとりあげないからです。元朝日新聞記者の本多勝一氏はこう述べています。「市民運動がなぜ報道されないかと言ったら、市民運動のことなんかやる記者は虐待されるからです」(『マスコミかジャーナリズムか』朝日文庫)。元河北新報記者の佐藤昌明氏は、青森県の状況についてこう書いています。「自然保護の問題をあまり熱心に取材すると周囲からアカ呼ばわりされたり、記者仲間の間でさえ変人扱いされたりした」(『新・白神山地─森は蘇るか』緑風出版)。

9月7日、歴史家の色川大吉さんが亡くなりました。色川さんは民衆史の先駆者とされています。「歴史をつくったのは少数のエリートや英雄ではない。社会変革の主役は民衆だ」と訴えました。こうも述べています。「民衆の資料は、つねにその99パーセントまでが埋もれている」(『歴史の方法』大和書房)。同感です。権力者にとって都合の悪いことや、有名人のいない草の根運動は記録に残りにくいということです。したがって民衆運動は民衆自ら記録に残すことが必要です。

記念誌は好評をいただいています。木更津市立図書館からいただいた礼状にはこう記してあります。「ご恵贈ありがとうございます。盤洲干潟のことも詳しく書かれており、興味深く拝読しました。郷土資料として大切に活用いたします」。君津市立図書館からも丁寧な礼状をいただきました。こう記されています。「ご寄贈いただきました資料は図書館資料として有効に活用させていただくよう順次整理していく所存です」。小櫃川の水を守る会の方々は記念誌の読書会を開いていただきました。

B5判。頒価は5集セットで3100円(送料600円を含む)。連絡は047(472)5324中山へ。

(千葉県自然保護連合 中山敏則)

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JAWAN通信 No.137 2021年11月30日発行から転載)