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カキ礁復活に感激!

~20年目を迎えた三番瀬市民調査~


三番瀬の市民調査は20年目を迎えた。浦安寄りに位置する猫実川(ねこざねがわ)河口域が調査対象である。この海域は第二東京湾岸道路の予定ルートになっている。5月3日の調査には法政大学人間環境学部の高田ゼミ生も5人参加した。

三番瀬市民調査の参加者=2022年5月3日

猫実川河口域の泥干潟やカキ礁には歩いて渡ることができない。護岸沿いは水深が深いからだ。遊船協会のかたが船を出してくださっているおかげで調査ができている。6月と7月は波が高かったため中止した。

国策の第二湾岸道路は、浦安市、習志野市、千葉市などの埋め立て地に8車線の用地が確保されている。だが三番瀬7団体が反対運動をつづけているため建設できない。JAWAN加盟の5団体(千葉の干潟を守る会、三番瀬を守る会、三番瀬を守る署名ネットワーク、千葉県野鳥の会、県自然保護連合)などだ。

7団体は猫実川河口域を守るため、2003年に「三番瀬市民調査の会」を立ち上げた。以来、この海域の調査を20年つづけている。猫実川河口域の豊かさをデータで示すことが目的である。第二湾岸道路を食い止めるうえでこれが効果を発揮している。これまでの参加者は実数で400人を超える。法政大学の学生も2013年から参加している。調査に参加した法大生は実数で110人におよぶ。

カキ礁に渡ったとき、感激した。2年前、約5000㎡の天然カキ礁は8割ぐらいのカキがごっそり採られた。密漁によってである。無惨な状態に衝撃を受けた。それが見事に復活した。復活したカキは生き生きとしている。

約5000㎡の天然カキ礁は、2020年5月の密漁で8割ぐらいのカキが消滅した。その大部分が復活した

珍鳥ミヤコドリが25羽もやってきた。すぐ近くにである。法大生は大喜びだ。こんな声を発した。「ミヤコドリをいちど見たいと思っていた。ラッキー!」。

「三番瀬の看板スター」ミヤコドリが25羽もやってきた=法政大学人間環境学部高田ゼミ生の浅地風花さん撮影

終了後の報告会では、法大生からこんな感想が寄せられた。

「船に乗って調査に参加したのは初めて。いろいろな生き物を見ることができて楽しかった」

「短時間でたくさんの生き物を確認した。干潟の豊かさを実感した」

この日確認した生き物は58種類だった。

カキ礁の周りにスズガモが1500羽ぐらいいて、船が近づくと一斉に飛び立った。壮観だった=同上
お腹に卵を抱えたシモフリシマハゼ

JAWAN通信 No.140 2022年8月10日発行から転載)