ミサイル基地建設で軍事要塞化 & 巨大リゾート開発で自然破壊!
~ダブルパンチの石垣島~
◆台湾有事とウクライナ戦争を利用する巨大軍拡のたくらみ
3月4、5日、「島々を戦場にさせない全国集会 in 石垣島」が開催された。島内や全国から200人余が集まり、交流会、集会、デモ行進でアピール行動をした。
5日の早朝にはミサイル基地に車両150台が搬入され、16日には駐屯地開設が強行された。さらに18日にはミサイル本体と弾薬がトラック18台分搬入された。いよいよ石垣島の軍事要塞化が急加速する。
ミサイル基地が建設された付近は「開拓農民」が開拓してきた場所だ。米軍基地建設によって沖縄島から移住してきた人々もいる。今後、さらに戦争準備のための基地建設によって土地買収が急加速するだろう。周りを基地に囲まれ土地を売る人も増えていくだろう。
台湾有事を声高にさけび、軍拡を進める岸田政権は、安倍政権以上に強権的である。閣議決定で憲法改悪以上のことをやってのける。問題は、ウクライナ戦争、台湾有事が大軍拡を進める岸田政権のカムフラージュとなり、国民の反対を限定的にしていることである。石垣島でもこの危機を突破するための模索が始まっている。ミサイル基地がすでにできてしまっている現実を前にし、「台湾有事」にさせないための民間外交を含めた多様な活動が必要になるだろう。
◆石垣リゾート&コミュニティー計画をめぐって
◇玉城知事が「農振除外」承認
「石垣リゾート&コミュニティー計画」はホテル519室、その他宿泊施設66室に18ホールのゴルフ場を付帯する127ha余の開発計画である。昨年12月の院内集会後、玉城デニー沖縄県知事は1月に農振除外を承認してしまった。私たちは訴状と行政不服審査請求を提出して沖縄県と対峙している。
◇架空土地交換で訴訟中
訴訟と架空土地交換請求は、不慮の事故で亡くなった栗林実氏が暴き出したことによる。法務局も登記不可能と判断している無理筋の事案である。石垣市の㈱ユニマットプレシャス社(ユ社)に対する違法な土地の無償提供について争っている。すでに4回の公判が行われているが、石垣市は全く反論ができていない。早期結審が望まれる。
◇行政不服審査で県に対峙
行政不服審査ではまず、当事者適格で門前払いをしようとする沖縄県とユ社の目論見を砕かなければならないが、これは困難な課題となっている。弁護士によるものを含め3本の反論書を提出した。
◇争点は当事者適格
私は、7項目にわたり当事者適格があることを反論書として提出した。
①市民の側の不利益は全く考慮されていない→事業者の利益は手厚く保護されているのとは対照的。
②地下水の大量使用がもたらす深刻な影響→アンパルへの環境影響が評価されていない。私たちの14年にわたる自然保護活動の成果を台無しにする。
③地下水マップもないのに地下水を大量使用→市民生活への影響を評価していない。
④国の特別天然記念物カンムリワシの保護対策がない→市民が享受してきた自然からの恵みについて考慮されていない。
⑤代替え農地は用意されていない→牧草地をつぶすことは石垣島の畜産業をつぶす。
⑥事業者に「地域経済牽引事業」の実施義務はない→その結果、市民が被る不利益は考慮されていない。
⑦市民の森が事業計画区域に含まれている→林道、農道、里道などがユ社に無償提供される→市民が享受してきた自然からの恵みを奪う。
総じて言えることは、「事業者の利益」は完全に保護されているが「市民が失う不利益は全く考慮されていない」ということである。このように真っ向から市民と敵対する事業であることを暴き出しているが、知事が一度承認してしまった事業を止めることは至難の業だ。
◇玉城知事が現地訪問か?
玉城知事は2月県議会で現地を訪問すると回答している。それは開発OKのサインとなる可能性も高いが、我々と意見交換する意思があれば状況を変える可能性もゼロではない。なぜなら、環境影響評価に対して出された立派な知事意見がある。これの未実施部分の確認作業をするのであれば、さらに開発申請許可は遠のくはずである。他方で、県環境部長の県議会答弁では、知事意見の積み残し部分は事後調査で対応するという無責任な答弁をしている事実もある。どちらに転ぶのかまだわからない。
◇「市民の森」をめぐる訴訟準備
今後、「市民の森」が事業区域に含まれること、そのほとんどが行政財産を一営利企業の無償で提供されることが焦点になってくるだろう。「自然の権利弁護団」が結成され、訴訟対策、法律的支援、クラウドファンディングが準備されている。WWFジャパンの支援で、事業区域を含む希少種魚類の調査と保全事業が進行中である。
新型コロナが鎮静化してきているので、多くの人を集めてのイベントもできるようになってきた。アンパルや市民の森でのイベントも着実に進めている。(参照:アンパルの自然を守る会広報紙『アンパルヌミダガーマ通信』)