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東京湾三番瀬に再び危機迫る

~新湾岸道路整備促進期成同盟会を設立~


三番全保全団体は、三番瀬を通る第二東京湾岸道路の建設を30年間も阻止している。だが国交省と千葉県はあきらめない。県と沿線6市は(2023年)5月26日、新湾岸道路整備促進期成同盟会の設立総会を開いた。新湾岸道路のおおまかなルートは外環道高谷JCT(市川市)-蘇我IC(千葉市)-市原ICだ。三番瀬の東側である。国交省と県は、新湾岸道路を第二湾岸道路の第一段階と位置づけている。(『JAWAN通信』編集部)

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第二湾岸道路は千葉県市原市と東京都大田区を結ぶ構想だ。「世界最大規模のエネルギー・素材産業の集積地」京葉臨海コンビナートと東京を結ぶ国家事業(国策)である。第二湾岸道路は三番瀬を通ることになっている。

この道路は、浦安市、習志野市、千葉市の埋め立て地に8車線の用地が確保されている。しかし三番瀬で中ぶらりんになっている。三番瀬保全団体が反対しているからだ。三番瀬を通るルートが決まらないので第二湾岸道路は構想路線にとどまっている。

国交省と県は第二湾岸道路の建設をあきらめない。2019年3月、国交省が千葉県湾岸地区道路検討会を設置した。第二湾岸道路の建設が目的である。検討会は2020年5月、新湾岸道路建設計画の基本方針をまとめた。新湾岸道路は三番瀬の東側である。三番瀬は通らない見込みとなった。

三番瀬を避けたのは三番瀬保全運動と世論の力によるものである。かつては、三番瀬に面する船橋、市川、浦安3市も三番瀬埋め立てや第二湾岸道路建設を推進する姿勢だった。しかし運動と世論の高まりによって、3市の姿勢は様変わりする。船橋市の松戸徹市長は市議会でこう表明している。「三番瀬は次の時代にきちんと伝えていかなければならない大事な自然なので、それを最優先にしていく」。

それでも国交省と県はあきらめない。今年5月、県と沿線6市が新湾岸道路整備促進期成同盟会の設立総会を開いた。期成同盟会は新湾岸道路の早期実現を国交省などに要望した。「湾岸部の都県間」、つまり東京都と千葉県を結ぶ第二湾岸道路の具体化も要望した。

国交省関東地方整備局が発表した「広域道路ネットワーク(千葉県)」の図は、新湾岸道路は第二東京湾岸道路の一部であることを明示している。三番瀬の一部(猫実川河口域など)を通り、東京都大田区に達する第二湾岸道路も描いている。この図は、県が発表した「千葉県広域道路ネットワーク図」でも使われている。

三番瀬市民調査の参加者。猫実川河口域が第二東京湾岸道路の予定ルートになっているため、この海域の調査を2003年からつづけている。猫実川河口域の豊かさをデータで証明し、アピールすることが目的だ。第二湾岸道路の建設阻止で重要な役割をはたしている。2013年からは法政大学の高田ゼミ生も参加している=2023年7月2日

◆「第二湾岸道路実現へ一歩」

東京湾では、アクアラインの6車線化をはじめ、第二湾岸道路や東京湾口道路の建設をめざす動きが活発になっている。市川市と千葉、市原両市を結ぶ新湾岸道路はその口火になるとみられている。

一部のメディアやゼネコンなどは、新湾岸道路整備促進期成同盟会の設立を大歓迎している。「乗りものニュース」は、この期成同盟会の設立を「第二湾岸道路実現へ一歩」と大きく報じた。

8月1日の『読売新聞』千葉版は、富津市と神奈川県横須賀市をむすぶ東京湾口道路について建設促進の動きがでていることを大きく報じた。こう記している。

「第二湾岸道路の早期実現や東京湾アクアラインの6車線化に向けた動きが活発になり始めており、(東京湾口道路の)促進協としても活動を再開することになった」

◆県道路計画課と交渉

7団体で構成する「三番瀬を守る連絡会」は、三番瀬に影響を与える道路建設を食い止めるため運動をつづけている。

7月28日は千葉県の道路計画課と交渉した。交渉では、新湾岸道路の具体的なルートや構造の検討は計画段階評価の手続きで進めることを再確認した。複数の案を提示して比較評価をおこなったり、地域住民や環境団体などと意見交換をしたりして案を決めるということである。

東京と千葉を結ぶ第二湾岸道路構想の具体化についてはこんな回答を得た。

「ルートが三番瀬の海域にかからないようにしてほしいという意味をこめて、千葉県三番瀬再生計画への配慮を国交省に要望している」

千葉県の道路計画課(こちら向き)と交渉する三番瀬7団体のメンバー=2023年7月28日、千葉県庁

◆船橋市の3部長と懇談

8月2日は船橋市の3部長(都市計画部長、道路部長、環境部長)と懇談した。部長はこう明言した。

「三番瀬は東京湾に残された干潟・浅海域である。この環境は非常に重要と考えている。三番瀬の環境を保全し、次の時代に引き継ぐことは大切であり、三番瀬への影響を避けることが大前提と考えている。新湾岸道路については、ルートや構造の案が示された段階で、本市としての意見をしっかりと述べることにしている。仮に第二湾岸道路が事業化に向けて動きだすことになった場合も、三番瀬への配慮について意見を述べていきたい」

船橋市の3部長(右側手前)と懇談=2023年8月2日、船橋市役所

JAWAN通信 No.144 2023年8月20日発行から転載)