自然、景観、漁業をつぶす風力発電
~秋田の沿岸に林立する巨大風車を見学~
JAWANのメンバーなどは2023年6月の26日と27日、巨大風力が乱立する秋田県の沿岸を見学した。自然と景観の破壊がすさまじい。防砂林の役割を担ってきた松原がいたるところで伐採されている。先人たちが営々とはぐくんできた歴史的景観や文化遺産がズタズタに破壊されている。沿岸漁業もつぶされようとしている。メンバーはびっくりである。
(『JAWAN通信』編集部)
秋田県の風力発電導入量は全国1位である。陸上風車は290基設置されている。秋田の海岸には日本最大級の海岸林が広がっている。地域の先人たちが苦労して築いてきた松林である。その松原が次々と伐採されている。すさまじい自然破壊だ。
さらに、秋田県沖は「洋上風力銀座」と呼ばれている。2022年12月から2023年1月にかけて33基の商業運転がはじまった。能代港が20基、秋田港が13基だ。第1弾である。
洋上風力発電の受け入れ賛否をめぐって漁師は揺れた。3分の1近くの漁師が反対した漁協もあった。しかし「魚がとれなくなる心配はあるが、風車が建って補助金をもらいながら漁をする方がプラス」と説得され、賛成に傾いた。地元では、政府や大企業との慣れない会議や接待に戸惑う声も漏れるという(『毎日新聞』2023年4月13日)。カネと接待による懐柔である。
月刊誌『選択』2022年7月号は、「洋上風力は『利権と不正』の巣窟に」と題した記事を載せた。秋田では、価格競争が働かない洋上風力発電をめぐって激しい受注競争がくりひろげられているという。こう記す。「地元に酒(接待)とカネ(地域振興)を多くバラ撒いた者が勝つことになる」「第2弾、第3弾の入札は漁協や自治体に事業者が入り乱れる混戦が必至だ」。
(JAWAN通信 No.144 2023年8月20日発行から転載)