干潟の生きものたちと遊ぼう
─長崎県大村市で「子ども科学館まつり」─
このタイトルは今年も変わりません。コロナでしばらくお休みして今年で14回目を迎えた「大村市子ども科学館まつり」が8月19日、大村市本町アーケードにあるプラットおおむらでありました。このまつりには、今回は24の個人、団体が参加です。昔の子供(多くは学校の先生)や高校生が、電気や植物などそれぞれの得意分野の実験や工作で今の子供たちと交流しました。私の出し物は「諫早湾の生きものたちと遊ぼう」です。
◆諫早湾のシオマネキが参加
生き物として参加していただいたのは諫早湾のシオマネキです。彼らは長崎県諫早市小長井町水ノ浦にいます。諫早湾干拓事業によって閉め切られた潮受け堤防の外で生き延びた生きものたちがたくさんいます。
前日の朝、干潮の時間帯を見計らって採集に出かけました。幸い、この日の干潮は早朝4時です。私たちのメンバーは大村を5時に出ました。前日借りた軽トラ
のレンタカーを飛ばし、1時間で諫早湾の干潟に到着。海岸の道路にもカニさんたちがワイワイと走り回っています。早速、網をかぶせて1匹をゲット。堤防から干潟に降りると本命がいます。体中を真っ赤に染めたオスの大型のシオマネキ(写真①)。子供たちのアイドルです。
福岡からも助っ人が駆けつけてくれました。約1時間余りたつと、潮がヒタヒタと寄せて来ました。トビハゼが喜んで飛びあがっています。これが潮時、上がることにしました。集めた総数は50匹になるでしょう。
◆「ウワー、カニだー!」
翌日は子供たちが集まる本番です。カニさんたちは顔を真っ赤にして、左官さんのトロ船の中で待機。やって来ました、子供たち。「ウワー、いっぱい。カニだー!」
次から次とメンバーが入れ替わりです。手のひらに乗せる(写真②)。 腕の上まで歩かせる(写真③)。恐る恐る、見るだけのヤワもいます(写真④)。お母さんの手を引っ張って、「捕まえてくれ」とねだる女の子(写真⑤)。見て、見て!お友達になったヨ (写真⑥)。
オスとメスはお腹で見分けるんだ。と物知りがのたまう(写真⑦)。今日、もう3回来たんだ、と威張るお兄ちゃん(写真⑧)。
◆子どもたちの歓声が一番
時間を見て、他の出し物を見て回りました。
私の気を引いたのは、大村高校の理科部「植物の葉っぱの動きを見てみよう!!」です。水槽の中の水草の葉を顕微鏡で見る。見事に整列した緑色の葉の細胞。解説の男子学生が自分のスマホの動画を見せてくれました。
小さな丸い細胞(葉緑体というそうです)が長方形の細胞の周りを静かにクルクル回っているではないか! 血管の中を赤血球が流れるみたいに、葉っぱの中を葉緑素が回っているのです。
地元のケーブルテレビが取材に来ました。子供たちの様子をカメラで撮ります。私は求められるままにコメントしました。
「子供たちの歓声が一番です。生きものたちをお友達に育ててくれたら、それが僕らの役割です。今の世の中、戦争だ、なんだかんだと、おかしなことも多い。生きものたちみたいに、仲良く、まっすぐに育って欲しい」
今回は大村の青年二人が助っ人として参加してくれました。トラックを回し、会場への呼び込みで声を出します。一緒に遊んで少年時代を取り戻したようです。
参加した子供たちと青年の感激をいくつかの写真で紹介しました。皆さんも味わってください。
NHKは、長崎NEWS WEBが放送してくれました。“科学の楽しさ知って” 大村市で「子ども科学館まつり」、です。おおむらケーブルテレビは8月28日(月)~29日(火)に放送しました。