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ラムサール登録湿地近くの風車建設計画を中止

~山形県鶴岡市の加茂風力発電~

出羽三山の自然を守る会
ラムサール条約登録湿地「大山下池」で冬鳥を観察

山形県鶴岡市のラムサール条約登録湿地の近くで計画されていた「(仮称)加茂風力」が中止になりました。2023年10月16日、事業者のジャパン・リニュアブル・エナジー(JRE)が鶴岡市を訪れ、計画断念を伝えました。計画中止は、出羽三山の自然を守る会など「ラムサール登録湿地近隣地区風車建設に反対する会」による運動の成果です。


近隣のJRE風力発電事業との位置関係

JREは、風車建設計画を断念した理由として、独自におこなった鳥類調査で「事業実施区域上空が多くの鳥類の渡りルートになっていることを確認し、またその野鳥の飛翔高度が風車設置予定標高(標高200m前後)と重複する可能性が高く、風車設置による影響が大きい」としています。JREが報告した鳥類調査結果は次のとおりです。

<飛翔が確認された主要な種>

マガン、ヒシクイ、コハクチョウなど。多い月で約1000羽以上が実施地区上空を飛来。

<飛翔高度>

確認された飛翔のうち、約70%弱が風車設置予定高(標高200m前後)を飛翔。酒田方面から飛来してくる鳥

類は平地から高館山付近で上昇を始め、事業予定区域上空では高度が足りず、風車設置標高と重複すると推察される結果となった。

<飛来時期>

春(2~3月頃)と秋(11月頃)の渡り時期に多くの飛来を確認した。9月~5月も飛来を確認した。

◆反対運動への支援に感謝

2022年9月の鶴岡市長に対する「建設中止を求める要望書」提出から始まり、同年11月2日には「ラムサール登録湿地近隣地区の風車建設に反対する会」を結成し、署名活動を開始して1年が経過しました。この間、2023年8月上旬には目標とする署名数が1万筆に達し、鶴岡市長、山形県知事、環境大臣、JRE社長に対してそれぞれ提出しました。反対運動や署名の取り組みにご協力いただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

この「加茂の風力発電建設」は、地域住民から鶴岡市議会に対して賛成の請願書が提出されるなど、「政争の具」になっているような状況で、長い取り組みになるものと思っていました。

私たちの身の回りには自然環境保全ということで今後もいろいろな課題が出てくると思いますが、今回の取り組みを糧に引き続き運動に取り組みますのでよろしくお願い申し上げます。


JAWAN通信 No.146 2024年2月10日発行から転載)