湿地破壊が止まらない
~湿地の保全が急務~
「湿地破壊止まらず」。2023年11月6日の『千葉日報』がこんな大見出しをつけて、干潟、浅瀬、湿原など湿地の破壊が今もつづいていることに警鐘を鳴らしています。今年1月16日の『毎日新聞』も同じ内容の記事を載せました。
記事の要旨はこうです。ラムサール条約事務局の報告によれば、世界各地で湿地の破壊が止まらない。世界の湿地の面積は1970年以降、35%も減少した。自然の湿地の減少ペースは年間0.78%で、天然の森林破壊を大きく上回る。しかも近年、加速する傾向にある。湿地の減少は日本でも深刻だ。日本に存在する湿地は、1800年代後半から自然の湿地が60%以上失われた。ラムサール条約湿地は全国53か所にまで増えたが、湿地を脅かすものは依然として多い。釧路湿原周辺では太陽光発電の乱開発への懸念が高まる。山形県鶴岡市の大山上池・下池の近くでは風力発電所の建設計画が持ち上がり、絶滅危惧種のシジュウカラガンなど鳥類への影響や景観破壊が問題とされた。25年大阪・関西万博のため大阪湾・夢洲の湿地を埋め立てる計画には国際的な批判の声が出ている。最近の研究では、湿地が大量の二酸化炭素(CO2)を保持する能力をもっていることが注目されている。生物多様性保全や気候変動緩和の観点からも、湿地生態系の重要性を認識し、これ以上の破壊を食い止める必要がある──。
これらは私たちの認識と一致します。たとえば沖縄・辺野古の海では、沖縄県の知事や県民が強く反対しているにもかかわらず、防衛省が米軍新基地建設の埋め立て工事を強行しています。東京湾奥部に残った貴重な干潟・浅瀬「三番瀬」では、三番瀬を通る予定の第二東京湾岸道路を30年間も阻止しつづけています。しかし国土交通省と千葉県は第二湾岸道路の建設をあきらめません。三番瀬では人工干潟造成計画も再浮上しました。
干潟や浅瀬、湿原など、いまある豊かな湿地を後世に残すことが重要です。危機に瀕している重要湿地をラムサール条約に登録しなければなりません。全国各地の干潟・湿地を守るため、力をあわせて行動しましょう。
■2024年「干潟・湿地を守る日」キャンペーンのお知らせ
日本湿地ネットワーク(JAWAN)は、長崎県諫早湾が閉め切られた4月14日を「干潟・湿地を守る日」とする全国キャンペーンを毎年春に実施しています。「干潟・湿地を守る日」キャンペーンは1999年からはじまりました。みなさんのご協力により2024年で25回目となります。
「干潟・湿地を守る日」の全国キャンペーンは日本湿地ネットワークとみなさんの大切な行事です。全国の湿地保全と諫早干潟の復活という趣旨を尊重していただき、「干潟・湿地を守る日」イベントとして観察会や学習会などを各地で開催してくださいますようお願いいたします。「干潟・湿地を守る日」という名称はイベントで自由に使っていただいてかまいません。
2024年「干潟・湿地を守る日」キャンペーンの詳細は関係者にお送りさせていただきました。JAWANのホームページ(https://www.jawan.jp/wdj/2024/notice/info.html)にも掲載しました。