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山口県上関町の町道整備を肩代わり

─中国電力 上関原発建設が目的─


中国電力が山口県上関町の3町道を整備していた。上関原発の建設が目的とみられている──。これを2月19日の中国新聞が報じた。福島第一原発を建設するときと同じやり方である。

福島第一原発の周辺では、東京電力が札束でひっぱたくようにして自治体や住民を取り込んでいった。その結果が、あの悲惨な事故である。地域社会は崩壊した。住民の多くは住みなれた地域を追われてしまった。中国電力と上関町はその教訓を学ばす、同じことをやろうとしている。

中国電力による町道整備について、中国新聞は国際環境経済研究所・竹内純子理事のこんなコメントを載せた。

「将来の原発建設時に必要で、町の要望もあるなら、中電が公道の整備をすることは何ら問題ない。製鉄会社がコンサートホールを造ることは好意的に受け止められるのに、原発事業者が地域貢献を行うとネガティブに受け止められるのはおかしい。中電の経営判断であり、無駄な支出ならば同社のコスト競争力が落ちるがそれも自らの裁量だ」

竹内氏は元東京電力社員である。東北大学特任教授のほか、内閣府規制改革推進会議の専門委員など政府委員をいくつもつとめている。

このコメントはチャンチャラおかしい。製鉄会社がコンサートホールを造るのと、電力会社が原発を建設するために町道を整備するのとでは、比べものにならない。それがわからない竹内氏は愚劣だ。東京電力の行いを無反省である。地震大国の日本で原発を建設すれば、地域社会を破滅させる恐れがある。環境も破壊する。大事故が起きれば閉鎖性海域の瀬戸内海は死の海になる。

その危険性は今年の元日に起きた能登半島地震でも立証された。震源地の近くに位置する珠洲市高屋町では、ねばり強い住民運動によって珠洲原発の建設を阻止した。もし珠洲原発が建設されていたら深刻な原発事故も発生していた。専門家はそう指摘する。原発阻止は大正解だった。

中国電力はまた、原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設に向けて、上関町でボーリング調査を始める方針を示した。上関町は受け入れる考えを示している。地元住民からは反対の声があがっている。


JAWAN通信 No.147 2024年5月10日発行から転載)