貴重な湿地を後世に残すために
─中池見湿地を守り続けて半世紀─
無名の中池見湿地はさまざまな開発から奇跡的に回避でき、2012年7月、ラムサール条約登録湿地になった。しかし湿地は、自然公園にもかかわらず、敦賀市廃棄物対策課(環境政策課と改称)と委託団体により街なかの都市公園のような管理で、多種多様な生物が生息していた小径の生物相は貧弱になった。行政のなかに指導する担当者がいないのである。現状を見たH市議会議員は、「管理運営を博物館並みにすることと、担当課の変更」を一般質問で要望していた。しかし敦賀市の環境課は変更なしと回答。
11万年の泥炭が堆積し、世界的な泥炭層がラムサール条約の基準にもなっているにもかかわらず、その価値を知ろうしない、逃げの一手である。地球温暖化、泥炭の働きなど無限の可能性を持った泥炭層を研究する機関・施設の情報はない。国際的に評価されている湿地である。今の時代だからこそ敦賀市に泥炭地を研究する機関を創る時期ではないか。
北陸新幹線のトンネル工事が終了し、水位が低下した。お地蔵さんの谷水は戻らない。代償措置として、大阪ガスの排土を撤去し、元の水田に戻す工事を開始した。当初の計画にはなく予定外の工事となったが、市民団体と鉄道・運輸機構の担当者の機転と判断で可能になった。
ノジコの調査で、バンダーは「今年の秋は全体的に鳥の種類は多いが、数は少ない。ノジコは後谷(うしろだに)の方が多くいた」とのこと。猛暑の影響か、環境の変化か、全国的なものか、複合的なものかの検討の余地があり、結果が待たれる。
20年間、開発から守るために市議会で活動していた前市議会議員は「敦賀市の管理ではダメだ。中池見湿地を負の遺産と思っている。国などが直接管理しなければこの先、国際条約の意味を理解しない。市はなにをするかわからない」と嘆いた。
最近の情報では、鉄道・運輸機構が難色を示した後谷の道路拡幅に対して、市はビジターセンターへの緊急車両のためと称して今後、4メートル道路へと拡張工事を模索しているようだ。中池見湿地は相変わらず問題山積状態である。