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東京湾で起きていること

─港湾・航路の浚渫汚濁土砂を漁場に投棄─


東京湾の東京港や千葉県内の港湾・航路で発生する浚渫汚濁土砂を漁場に投棄し、その協力金(迷惑料)として三番瀬の漁協(漁業協同組合)に巨額の供与──。この事実が、千葉県から入手した未公開資料で明らかになった。

東京都は、有機汚濁がひどい東京港の水底土砂を1996年度から千葉県の幕張沖漁場に投棄しつづけている。その量は1996~2023年度の28年間で2600万㎥。名目は「深掘部の埋め戻し」だが、それは口実である。

千葉県から入手した未公開資料によれば、2011~2023年度の13年間に投棄した量は1030万㎥。投棄料として103億円(1㎥あたり1000円)を東京都が千葉県に支払っている。千葉県はその4分の3(約80億円)を漁協に協力金として配分している。名目は漁業振興関連事業費(合併支援費を含む)だ。

その一方で、千葉県も、県内の港湾・航路で発生する浚渫汚濁土砂の投棄協力金として漁協に巨額の漁業振興関連事業費を交付している。その額は2011~2023年度の13年間で83億円である。

浚渫汚濁土砂の投棄で漁協が東京都と千葉県から受け入れている金額は、この13年間で合計163億円(80億円+83億円)におよぶ。

三番瀬の漁協は、三番瀬埋め立て計画に賛成してきた。三番瀬を通る予定の第二湾岸道路建設や人工干潟造成には反対しない。他方で、三番瀬のラムサール条約登録には強く反対している。その背景には、県から巨額の支援を受けていることがある。

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東京港で発生する浚渫土砂を幕張沖の漁場に投棄中のクレーン付き台船=編集部撮影

青潮は貧酸素水塊の湧昇現象である。三番瀬の漁業は、硫化物を含んだ青潮(無酸素水)が襲来するたびに大打撃を受けている。

青潮の主な発生源は港湾と航路である。『千葉県水産総合研究センター研究報告』(2019年3月)に掲載された「東京湾における青潮の発生と漁業被害の状況」にはこう記されている。

「地先別の発生状況では、船橋港と千葉港での発生が多く、それぞれ265回、227回であった」

この研究報告に掲載されているグラフ(上)をみれば船橋港と千葉港の青潮発生日数が多いことは一目瞭然である。


JAWAN通信 No.149 2024年11月10日発行から転載)