辺野古新基地の土砂採取=人道無視、環境破壊に反対!
沖縄県の辺野古新基地建設で国(防衛省・沖縄防衛局)は、建設予定地北側の軟弱地盤が広がる大浦湾の海底を埋め立てる土砂の調達地について、計画は変更・迷走していたが、最近、主に鹿児島県・奄美大島の土砂を調達する計画が明らかになった。
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◆県が「不承認」、国が国の計画を承認し「代執行」
沖縄防衛局が2013年に申請した「図書」では、埋め立てに必要な土砂(岩ズリ=土砂混じりの砕石)の必要量は2500万?とし、そのうち約3割を沖縄本島の2か所から、7割を九州・瀬戸内6県の7か所から調達する計画だった。ところが大浦湾の海底が「マヨネーズ」のような軟弱地盤であることが判明。2020年4月の「図書」で、土砂を沖縄県7か所と九州4県11か所から、ほぼ5割ずつ調達すると変更した。
沖縄防衛局が県に申請したこの設計変更は、周辺地域の生活・環境破壊などで問題点や矛盾が多く、沖縄県はその変更申請を「不承認」とする。これに対抗し、申請者の国は不当にも県に替わって承認(県が承認しなかった国の計画を国が承認)し、裁判所も国のこの承認を正当と認め、国は沖縄県が承認しないまま「代執行」することになる。
◆埋め立て土砂に含まれている外来生物や戦没者の遺骨
新基地には避けて通れない重要な問題があった。沖縄県には「外来生物侵入防止条例」があり、外来生物の調査や侵入防止策の届け出が必要で、その後も、それらの結果報告を提出しなければならない。防衛局はその調査や報告の手間を省き、まずは沖縄本島からの土砂の調達を優先させ、埋め立て工事を進めた。ところが、さらに新たな大問題が出てきた。その土砂には沖縄本島南部の沖縄戦激戦地の「戦没者の遺骨」が含まれていたことだ。
当然、「戦没者の遺骨が眠る土を米軍の新基地建設で戦争のために使うのは、死者への二重三重の冒涜だ」と、遺族はもとより国民の多くが猛反発。全国各地の自治体議会から反対決議が広がる。沖縄防衛局は沖縄県内だけからの土砂調達を断念し、奄美大島など九州の土砂も調達することになる。
◆採掘地周辺の生活破壊や特定外来生物を現地調査
沖縄防衛局は昨年9月、奄美大島からの土砂調達で、奄美市、瀬戸内町、龍(たつ)郷(ごう)町(ちよう)、大(やま)和(と)村(そん)の4市町村の採石場や土砂仮置き場などの現地調査を開始した。これに対し「自然と文化を守る奄美会議」と「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(土砂全協)」は、4市町村長宛てに土砂搬出に反対意思の表明などを求め要請書を提出する。
同2団体はさらに、島内の採石場を視察調査し、ハイイロゴケグモやオオキンケイギクなどの特定外来生物を発見。さらに、騒音・震動・粉塵による人体への被害や住民の生活破壊、山肌の亀裂・土砂崩れ・土の流出・海の汚染など多大な環境被害の拡がりを確認した。
◆署名運動で奄美大島からの土砂調達阻止を
土砂全協はまた、奄美大島からの土砂調達に反対する署名運動も決めた。同団体の署名運動は2度目。最初の署名運動は60万筆をはるかに超え、それが原動力となり、瀬戸内・九州の鹿児島県以外の土砂や沖縄本島南部の戦没者遺骨混じりの土砂調達の計画を変更させるに至った。
奄美大島からの調達土砂は最大で辺野古新基地埋め立て土砂全体の3分の2に相当する。これを止めれば、辺野古新基地はできない。
私たち環瀬戸内海会議(首都圏連絡会)は、土砂全協の一員として「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」「奄美大島から辺野古埋め立てのための石材・土砂を調達させない」「辺野古新基地埋め立て反対」の署名運動に取り組んでいる。









