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人工海浜「幕張の浜」の惨状にア然

─海水浴も水遊びも禁止、生物もいない─


 三番瀬は東京湾の奥部に残る貴重な干潟・浅瀬である。市川市は、そのような三番瀬の一部をつぶす人工干潟造成計画を強行している。航路に堆積した汚染土砂を三番瀬の浅瀬に投入するというとんでもないやり方によってである。私たちは計画中止を求めている。私たちが中止を求める理由のひとつは、予定地は波の影響を受けやすい場所なので侵食が避けられないことである。事業費は造成費だけで3.5億~7.5億円。土砂の補給がつづくので、維持管理費も莫大だ。

 三番瀬保全団体のメンバーは(2025年)9月23日、人工干潟の失敗例として、千葉県が千葉市美浜区の海岸で造成した人工海浜「幕張の浜」を見学した。その惨たんたる状況を見た参加者はア然ボー然だった。

(中山敏則)

幕張の浜の惨たんたる状況を見学する三番瀬保全団体のメンバー=2025年9月3日

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◆「幕張の浜」は砂補給を中止

 人工海浜「幕張の浜」は惨たんたる状況になっている。砂をいくら補給しても侵食がつづくからだ。

「幕張の浜」の砂補給と整地に要した費用は1979~2001年度の23年間で45億8000万円に上る。それでも侵食が止まらないため、県はとうとう砂補給を1999年度で中止した。利用者の安全を確保できないとし、海水浴や水浴びも禁止した。

海水浴客でにぎわっていた頃の幕張の浜=1996年、千葉県企業庁編集『千葉県企業庁事業の軌跡』本編から

◆市川市塩浜地区の護岸改修費は39億円

 市川市が同市塩浜2丁目の護岸前で造成する人工干潟も侵食される可能性が大である。ところが市川市の担当部署(行徳支所)はこう述べた。「塩浜2丁目の護岸前は幕張の浜と向きが違うので大丈夫だ」。

 しかし塩浜地区は、2000年7月の台風で護岸沿いの20か所が陥没した。翌2001年9月の台風でも11か所の大規模な路面沈下と陥没が発生するなど、崩壊の危険性が高まった。そのため県は、2004年度以降、約39億円の巨費を投じて頑丈な石積み護岸を建設した。護岸改修に用いる石は三重県から搬入した。

 市川市はそのような事実を隠し、いい加減なことをその場しのぎで答えている。

現地には遊泳や水浴びを禁止する看板が立てられている=9月23日撮影
侵食がつづき、2mを超える崖ができている=9月23日撮影
幕張の浜は底生生物がほとんど見られない。したがって野鳥もやってこない。人工海浜(人工干潟)の実態を如実に示している。三番瀬などの自然干潟と大違いだ=9月23日撮影
千葉県は市川市塩浜地区の護岸を改修する際、「台風や高潮が襲来すれば崩壊や侵食の恐れがある」とし、2004年度以降、約39億円の巨費を投じて頑丈な石積み護岸を建設した。市川市はこの護岸前で人工干潟造成を強行しようとしている=市川市塩浜2丁目の護岸、2024年4月13日撮影

JAWAN通信 No.153 2025年11月30日発行から転載