干潟・湿地を守る日2008宣言
1993年に北海道釧路(くしろ)市で第5回ラムサール条約締約国会議が開かれてから、15年が経過しました。
ラムサール条約は、『持続可能な開発を地球規模で達成することに貢献するため、地域や地方からの取り組みや国家的な取り組み、あるいは国際協力を通じて、すべての湿地を保全し、賢明に利用すること』を目的とする国際条約です。
この15年の間に、わたしたちの日本社会で、干潟などの湿地を保全する取り組みは、どれだけ前進したでしょうか。
確かに、当時よりも湿地保全の意識は高まりました。そのなかで、藤前(ふじまえ)干潟のゴミ埋め立てや、中海(なかうみ)、三番瀬(さんばんぜ)、中池見(なかいけみ)湿地などの開発計画が中止されました。
しかし、その一方で、我が国最大規模の諫早湾(いさはやわん)干潟が、干拓事業により消滅させられています。人工島埋め立てで環境劣化が進む和白(わじろ)干潟をはじめ、泡瀬(あわせ)干潟、吉野川河口などの環境破壊は止まらず、釧路湿原、三番瀬、瀬戸内海では「再生」の名による新たな破壊が進んでいます。
昨年も、多くの人々の反対の声にもかかわらず、泡瀬干潟の埋め立て工事が進み、諫早湾ではついに干拓工事が完工しました。
ラムサール条約登録湿地は、2005年に東アフリカ・ウガンダのカンパラで開かれた第9回ラムサール条約締約国会議で20カ所が追加されたものの、いまだに国際的に重要な湿地の多くが未登録のままです。
このような中で、本年10月28日から11月4日にかけて、韓国の昌原(チャンウォン)市で第10回ラムサール条約締約国会議が開かれます。今回の会議では湿地としての水田の価値を見直す決議が検討されます。また、本会議に先立つ10月26日と27日には世界のNGO会議が開かれます。さらに、2010年には第10回生物多様性条約締約国会議が名古屋で開催される予定です。これらの国際会議は、日本を含めた東アジア地域の湿地保全を前進させる絶好の機会です。
いまこそ、わたしたちは、湿地を破壊してきた歴史に終止符を打ち、本格的な湿地保全の取り組みを実現させるため、力を合わせましょう。
ゆたかな湿地のいのちのつながりを取り戻し、第10回ラムサール条約締約国会議のテーマである「健康な湿地、健康な人々」の理想を実現するため、わたしたちは、今日の出会いを力に変えて、全力をあげることを宣言します。
◎追加宣言(必要に応じて各地の宣言を追加してください)
2008年4月14日
日本湿地ネットワーク
※上記テキスト版では「ふりがな」を( )内に表記しています。
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