国際湿地シンポ
「泡瀬・諫早・セマングム」と決議文

柏木 実(日本湿地ネットワーク)

 2002年度の国際湿地シンポジウムを皆様のご協力で開催することができました。ラムサールCOP8から、湿地再生の原則と指針などの決議と、NGOのプレ会議から保全の必要性を強調して報告のあったセマングム、諫早、泡瀬に焦点を当てる、という当初の目的は達成できたと考えています。

 2月22日に沖縄で始まり、有明海の視察をして、3月2日までの10日間という長丁場でしたが、現地での献身的で、熱のこもった準備にささえられて、とても充実した結果が得られたと思います。

 特に、韓国の若い活動家であるミョン・ホ(明湖)さん、人類学の研究者でありセマングム生命学会の代替案文化委員長のチョ・キョンマン(趙慶萬)教授からは、通訳をしてくださった沖縄在住の平和運動家のキム・ヒョノク(金賢玉)さんを通して多くを学ばせられました。

 かの国における事業の進められ方が、聞けば聞くほどわが国のやり方に酷似していること、再検討で中断していた後に再開されて潮受け堤防が73%まで作られていますが、韓国のかたがたが決してあきらめていない、という状況は、私たちの励ましであり、示唆を与えてくれます。

 この3箇所の工事の象徴とする状況を打ち破るための私たち地域保護団体の戦略は、情報を交換し合うこと、そして、このような事業を許さないシステム構築に向けた取り組みをすることだということを改めて確認させられました。

 準備してくださった皆様、参加してくださった皆様、参加できなかったけれどもさまざまな形で支えてくださった皆様、このエネルギーをこれからの各地で、そしてネットワークの取り組みにつないでいきましょう。

(JAWAN通信 No.75 2003年6月1日発行から転載)