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ユネスコ事務局長(アズレー氏)に世界遺産目当ての石垣島の自然破壊緊急調査を要請

アンパルの自然を守る会 事務局長 山崎雅毅

図4-1

ユネスコ国連教育科学文化機関の事務局長(Director General)オドレー・アズレー(Ms. AUDREY AZOULAY)さんに、石垣島の自然破壊の実態調査を緊急要請する文書を送りました。大規模な自然破壊は気候変動を助長します。沖縄のみならず日本中、世界中のみなさんの応援をお願いするため、オンライン署名「Change.org」も進めています。

『JAWAN通信』の135号と136号では、「石垣リゾート&コミュニティー計画」「陸自ミサイル基地建設」に関する報告をさせていただきました。

石垣島では、首里城再建のためにオキナワウラジロガシの巨木を伐採する計画も進んでいます。さらに、崎枝では旅行会社最大手のJTBの「ポンツーン事業(大型浮き桟橋)」が、石垣島最高の三ツ星景勝地川平湾では大型ホテル建設が計画され、関係者に対する工作が事実上進められています。最大規模の自然破壊が進行しようとしているのです。これらは、西(いり)表(おもて)島(じま)が世界自然遺産に登録されるというビジネスチャンスを生かし、観光業、宿泊業がかねてから準備していたことです。

写真4-1
手前はラムサール条約湿地のアンパル。後方の小高い山は前勢岳。「石垣リゾート&コミュニティー計画」は前勢岳の中腹で進んでいる。ここはアンパルの源流域でもある=2019年3月31日、『JAWAN通信』編集部撮影

◆持続不可能な島になる前に、世界自然遺産登録の西表島の隣の島「石垣島」を史上最悪の自然破壊から助けてください!

石垣島は西表島と比べても見劣りしない美しい亜熱帯の島です。石垣島は世界遺産登録の西表島と同じ西表石垣国立公園内にあり、すさまじい自然破壊計画が進行中です。

以下5件のオンライン署名(Change.org)と紙署名の合計は延べ9万6000筆を超えています。

(1)中山義隆石垣市長は、市民の合意なしにミサイル基地を建設にゴーサイン。環境破壊を容認し、森林伐採を強行。住民投票要求の1万4000以上の署名を拒否。

(2)中山市長は㈱ユニマットプレシャス社のリゾートホテル付ゴルフ場建設(214ha)を強引に推し進めている。石垣市は1日100トンの水しか供給できないので、不足分(約800トン)は地下水をくみ上げる。小さな島から地下水を大量にくみ上げれば塩水化が発生し、石垣島の宝・石西礁湖、アンパル、名蔵湾の生態系を破壊し、農水産業に被害を与える。ゴルフ場からは農薬も珊瑚礁海域に流出しサンゴを絶滅させる。10月末現在で1万余筆の署名。

(3)日本政府と沖縄県、石垣市は、一夜にして燃えた世界遺産(石垣の遺構部分のみ)の首里城を復興するため、天然巨木(石垣島のマザーツリー・オキナワウラジロガシ)を屋(や)良(ら)部(ぶ)岳山麓から集中して5本を伐採することを、調査せずに決定。「燃えない加工を一切せず」燃える前と同じものを復元しようとしている。我々は、集成材での復元・再建や、巨樹、巨木の伐採はするな、とキャンペーンしている。10月末現在で2万5000筆以上の署名。

(4)大手旅行代理店のJTBは、サンゴの海にレジャー用ポンツーン(固定式浮き島)の建設を予定。サンゴにダメージを与えることは必至。反対署名は4万8000筆に上っている。だが、周辺海域への影響に関する住民への質問には回答を一切拒否している。

(5)川平地区でも、石垣市景観条例に反する大規模リゾートホテルを建設する計画がある。ここでも住民との関係で軋(あつ)轢(れき)を生んでいる。さらに1日500トンも地下水をくみ上げるという情報もある。

◆ユネスコは、世界遺産の登録に関して次のように警鐘を鳴らしてしています

(1)観光資源としての価値が高まることもあり、世界遺産の指定を積極的に狙う史跡が増え続けている。ユネスコでは厳しい審査を行い、無秩序に世界遺産が増えるのを防いでいる。

(2)世界遺産の指定には、史跡や自然の保護のための環境や法律が十分に整えられているか、世界遺産に指定されるほど十分に魅力的あるいは文化的な多様性や普遍的な価値があるか、が問われる。

(3)観光地化が進み、保護がしっかり行き届かなくなれば、世界遺産登録を取り消す。

日本国民、沖縄県民、世界の市民の皆さん、どうか私たちの行動を理解していただけることを願い、世界遺産登録の価値を失わせないために、環境破壊を進める企業、政府に石垣島の叫び声を届けたいと思います。

◆オンライン署名キャンペーンの参加団体と代表者

アンパルの自然を守る会       共同代表 島村賢正

我がーやいまの自然環境を考える会  会 長  宮城信博

石垣島のマザーツリーを守る会    代 表  会田昌平

やいまの海を想う会         代 表  泉 浩平

石垣島エコツーリズム協会      代 表  谷崎樹生

八重山ネーチャーエージェンシー   代 表  高木理恵

カンムリワシリサーチ 交渉中

★協力または検討中の全国組織

決定:日本湿地ネットワーク、交渉中:日本野鳥の会、世界自然保護基金、日本自然保護協会、ラムネット、グリーンピースほか

★送付先

国連ユネスコ本部    事務局長 オドレー・アズレー

日本ユネスコ協会連盟  会 長  佐藤美樹

日本政府

内閣総理大臣       岸田文雄

内閣府沖縄総合事務局長   田中愛智朗

文部科学大臣    末松信介

沖縄県知事         玉城デニー

石垣市長          中山義隆

株式会社ユニマットプレシャス

代表取締役会長 高橋洋二

JTB代表取締役  山北栄二郎

(敬称略)

呼びかけ人代表 会田昌平

連絡先 090-8707-8927


JAWAN通信 No.137 2021年11月30日発行から転載)