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ラムサール条約登録などを環境省に要請

〜7湿地の団体と日本湿地ネットワーク〜


 日本湿地ネットワーク(JAWAN)などの湿地保全団体は2016年11月11日、重要湿地のラムサール条約登録などを求めて環境省と交渉しました。参加者は35人です。国会議員4人と議員秘書9人にも同席していただきました。
 最初に、JAWANのほか、三番瀬、盤洲干潟、三河湾、中池見湿地、新舞子干潟、吉野川河口、和白干潟の保全活動を進めている団体がそれぞれ要望書を提出し、要望の主旨をのべました。そのあと、環境省の回答とやりとりです。

写真1-1
重要湿地のラムサール条約登録などを求めて環境省(奥)と交渉
=参議院議員会館
写真1-2
重要湿地のラムサール条約登録などを求める要望書を環境省の担当者に手渡す日本湿地ネットワークの牛野くみ子共同代表(手前右)

◆やる気のなさが浮き彫りに

 交渉では、環境省のやる気のなさが浮き彫りになりました。危機にさらされている重要湿地などのラムサール条約登録を促進するよう、「条約締約国の責務として環境省がリーダーシップを発揮してほしい」と要望したことについては、「地元の自治体や関係者の動きを見守りたい」をくりかえしました。
 ラムサール条約に登録されている中池見湿地は条約登録区域内を北陸新幹線が通ることになっています。しかも、湿地の貴重な水源となっている深山(みやま)にトンネルを掘ることになっています。NPO法人ウエットランド中池見の笹木智恵子理事長は、環境への影響を防ぐため、環境省が掘削工事を厳しく監視・指導するよう要請しました。ところが、「事業者(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)のとりくみを注視したい」の回答にとどまりました。参加者からは「環境省が主体性をもってとりくむべきだ」などの意見が相次ぎました。

◆不見識も露呈

 環境省の不見識も明らかになりました。
 JAWANの要望書では、「日本の湿地は減少が著しく進んでいて、「日本に存在する湿地は明治・大正時代の40%足らずでしかない」と記しています。これについて自然環境計画課の課長補佐はこうのべました。
 「日本の湿地が減少傾向にあることは認識している。しかし、明治・大正時代の40%足らずでしかないということは、環境省は公表していない。そういった文献・調査があるのかもしれないが」
 この回答には驚きです。国土地理院のホームページに「日本全国の湿地面積変化の調査結果」がくわしく公表されています。そこには「明治・大正時代に存在した湿地面積の61.1%に当たる1289.62km2(琵琶湖の約2倍の広さに相当)が消失した」と明記されています。重要湿地を担当している環境省の職員はそれを知りませんでした。情けないかぎりです。

◆耳を疑う回答

 JAWANがラムサール条約への早期登録を求めた湿地について、野生生物課の課長補佐はこう答えました。
 「三番瀬はラムサール条約の国際的登録基準を満たしている」「盤洲干潟と和白干潟、泡瀬干潟は国際的基準を満たしている可能性がある」「三河湾、新舞子干潟、ハチの干潟は、国際的基準に該当するかどうかの情報がまだ十分ではない」「吉野川河口は国際的基準に該当する可能性があるが、情報不足である」
 耳を疑う回答です。三河湾や吉野川河口も環境省の「ラムサール条約湿地潜在候補地リスト」に掲載されています。同省のホームページにはこう記されています。
 「環境省では、ラムサール条約湿地の登録を推進するため、ラムサール条約湿地としての国際基準を満たすと認められる湿地(潜在候補地)を全国から172ヶ所選定しました」
 たとえば吉野川河口は、登録基準の1、2、3、8に該当することが潜在候補地リストに明示されています。それなのになぜ、吉野川河口などについて「情報不足」とか「情報がまだ十分でない」と回答したのでしょうか。
 JAWANの中山敏則事務局長は、「吉野川河口もラムサール条約湿地の潜在候補地にあげられているので、国際的な登録基準を満たしているはずだ」とのべました。ところが、課長補佐はこの発言を一蹴です。
 翌日、ラムサール条約湿地潜在候補地の選定作業に深くかかわった人に話を聞きました。こんな話でした。
 「吉野川河口などについて環境省は『情報不足』と回答したそうだが、それはおかしい。潜在候補地リストに載っている172カ所はすべて国際基準を満たしている。国際基準を満たしていない湿地は潜在候補地に選ばれない」
 「潜在候補地を選定したときに野生生物課に在籍していた職員は、いまはだれも同課に残っていない」
 話を聞いてあきれました。環境省は、自省のホームページで「潜在候補地は、国際基準を満たすと認められる湿地を抽出したもの」と明記しています。それなのに、潜在候補地リストに載せている吉野川河口や三河湾などについて、国際基準を満たしているかどうかは「情報不足」などと平気で答えるのです。引き継ぎもきちんとされていないようです。組織として体をなしていません。
 こういう現実をしっかりふまえたうえで今後の対応を検討することが必要です。

 以下は、7カ所の湿地保全団体とJAWANが提出した要望書です。
●重要湿地のラムサール条約登録などに関する要望
●三番瀬のラムサール条約登録を求める要望書
●盤洲干潟のラムサール条約登録を求める要望書
●三河湾(渥美半島・表浜を含む)のラムサール条約登録を求める要望書
●ラムサール条約登録「中池見湿地」を通る北陸新幹線建設工事に関する要望書
●新舞子干潟のラムサール条約登録を求める要望書
●吉野川河口をラムサール条約登録湿地に(要望)
●和白干潟のラムサール条約登録を求める要望

(JAWAN通信 No.117 2016年11月30日発行から転載)

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